82 名前: プールサイド(1) 投稿日: 03/01/23 00:50 ID:L3vY8h4B
少年は、濡れた体をタオルで拭きながら、少女の泳ぐ姿を眺めていた。
三鷹市営の室内温水プール。木曜の午後は、人もまばらである。
その中に、水着姿でなければ女の子と間違われそうな、そんな幼さを
顔つき、体つきに多く残す少年がひとり。
プールサイドのベンチに腰かけて、その少年はひとつ、ため息をもらした。
「……速いなぁ」
少年がぼんやり目で追っていたのは、彼と同じそのプールの常連客。
少年よりすこし年上の、いつも美しいフォームで水上をはしる少女。
小さく上がる水しぶきの中に、息つぎの横顔がのぞく。
その鋭い目はストイックに、まっすぐ前だけに向かっている。
少年がもうひとつため息をつく前に、少女は25メートルを泳ぎ切った。
ざばりとプールから上がって、少女は、水に濡れたショートヘアを
両手でかきあげた。前髪から落ちた水滴が、きりりと上がった目尻、
ふっくら丸い頬をつたって、鎖骨のくぼみへと流れてゆく。
すこし血色を失った唇が開いて、ふうっと息がもれた。
「……なに?」
突然声をかけられて、少年ははっと背筋を伸ばした。
少年はいつの間にか、すっかり目を奪われてしまっていたのだ。
その少女――神楽の姿に。


83 名前: プールサイド(2) 投稿日: 03/01/23 00:52 ID:L3vY8h4B
「あっ、いや、あの、僕ですか」
泡くって何と返せばいいかわからず、少年は口ごもった。
「なんか、こっちじっと見てるからさ。何かなって」
神楽の言葉を聞くと、少年はなんだかすごく恥ずかしくなって、
赤くなった顔を見られまいとタオルを頭からかぶってしまった。
その様子を見て神楽は、不思議そうな顔でペタペタと少年に近づいた。
「あんたさ、よくここ来てる子だよな。中学生?」
「あ、はい。中一っす」 もごもごと答えてタオルを肩にもどす。
「えっと……、ごめん、誰だか思い出せない」
「いえ、あの、すごく速いなぁって。泳ぐの速いなぁって思って。
 それで見てただけなんです、すいません」
神楽は一瞬きょとんとして、すぐにアハハと笑い出した。
「なんだー、そうだったのか。そんな、大したことないよー」
そう言いながらも嬉しそうに照れる神楽を見て、少年も微笑んだ。
「あの、どうすれば速く泳げますか」
「んー? そんなの、私が教えてほしいよ」
困ったふうに頭をかいて、神楽はその場にしゃがみこんだ。
ベンチに座っている少年からは、すこし神楽を見下ろす格好になる。
「速くなりたいよな。もっともっと」
神楽はそう言って、大きな瞳を彼に向けた。目を合わせるとどきどき
してしまうので、少年は目線を下ろした。すると神楽の股の部分から
ぽたぽたとしずくが垂れてプールサイドを濡らしているのが目に入った。
恥ずかしいのですこし目線を上げると、今度は黒い水着にしめつけられて
窮屈そうにしている胸がとびこんでくる。
結局少年は、神楽のつむじを見ながら会話することにした。
「あのさ、ちょっと泳いでみる?」
「えっ」
「私、人に教えるのって苦手なんだけど、それでもいいなら見るからさ」


84 名前: プールサイド(3) 投稿日: 03/01/23 00:54 ID:L3vY8h4B
いつしか他の人影は消えて、プールは少年と神楽の貸し切り状態になっていた。
「がんばれっ、もうちょっと、がんばれーっ」
神楽の叫び声が響くなか、少年は25メートルを泳ぎ切った。
息を切らす少年の肩にタオルを乗せながら、神楽は笑顔をみせた。
「おつかれ。けっこう速いじゃん、中一にしては」
「え、ほんとですかぁ」 ふぅふぅ息を荒げながらはにかむ。
「フォームもきれいなんだけど、ただ、ちょっと脚が固いかな」
「脚、ですか」
「うん。……そこ座ってみ?」
少年は言われるままに、プールサイドにぺたりと尻をついた。
「脚のばしてー。押してやるから」
「ストレッチです、くあっ!?」
少年の言葉を待たずに、神楽は彼の白い背中をぐうっと押した。
甲高い悲鳴をあげる少年のうしろで、神楽がいたずらっぽく笑う。
「固ったいなぁー。若いのにこれはダメだぞっ」
「痛たたたたたたた」
「がまんしろっ、男だろ」
神楽はそのまま、うしろから重ねるように少年の手を握り、前のめりに
体をあずけた。少年の体が、神楽の全体重によって折りたたまれる格好だ。
「よおし、このまま10数えるぞー。いぃーち!」
少年の右耳のすぐ横で、神楽の声がきいんと響いた。


85 名前: プールサイド(4) 投稿日: 03/01/23 00:56 ID:L3vY8h4B
神楽のカウントアップと、少年のうめき声とが混じりあって水面を跳ねる。
少年は膝の裏の痛みに耐えながら、どこか別のところから沸いてくる
妙な感情に戸惑っていた。
自慰のやり方も知らない未熟な少年にとって、女性と体を密着させるのは
はじめての体験だった。ぎゅうぎゅうと容赦なく押しつけられる神楽の胸。
すこし肘を曲げると、狭いなかで肩甲骨がぐりりとうごめき、その濃厚な
感触を伝える。耳たぶの産毛が、神楽のあたたかな吐息の感触を伝える。
呼吸するたび鼻が、神楽の内向きクセっ毛に染みつくあまいシャンプーの
香りを伝える。
少年のあらゆる器官が本能的に、神楽の心地よい肉体を感じていた。
「じゅーう!」
永遠とも思える時間が終わり、少年はプハッと息を吐き出した。
神楽は相変わらずの無邪気な笑顔で、パシパシと少年の肩を叩く。
「痛かっただろー」
「は、ハイ……」
「でもこういうのは、若いうちにしっかりやっとかなきゃダメなんだ。
 これから体がガッシリしてきて、よけい固くなるからな。……たぶん」
「は、ハイ……」
「よし。それじゃ次、脚ひらいて」
少年は言われるまま、両脚をいっぱいに広げた。そしてふたたび神楽が、
うしろから手を重ね指を絡ませ、少年の小さな背中に体を乗せた。


86 名前: プールサイド(5) 投稿日: 03/01/23 00:57 ID:L3vY8h4B
神楽の体を「気持ちいいもの」と認識してしまった少年の神経は、
さらなる快感を味わおうと走る。薄い水着一枚を隔ててくっついている
神楽の体から、そのぬくもりと鼓動が伝わってくる。ふたつの胸はさらに
ボリュームをもって、腹のライン、へそのくぼみまでもが、まるで自分の
背中に溶けこんでしまったかのように強く感じられる。すこし動くと、
おたがい濡れた体のどこからか、くちゅりという音がかすかに聞こえる。
激しい股関節の痛みも、もはや快楽のスパイスとなっていた。
そんな、男としての本能に翻弄されて、少年の息づかいは荒く、心臓の
鼓動は強く激しくなっていった。そして突然、自分がなにか大変なこと、
してはいけないことをしているような感覚におそわれた。
動揺を神楽に悟られまいと、必死にどきどきを抑えようとする。
しかし少年の思いとは裏腹に、暴走した感覚はさらに激しく神楽を犯し、
その肉体の味を克明に伝えてくる。
神楽はより一層、少年を包みこむように体を重ねてくる。
強い痛みと、激しい背徳感と、熱い神楽の鼓動。
みっつが混ざりあい、快楽の絶頂となって少年をおそった。
「……っぁ!」 「じゅーう! はーい、終わりー」
少年のかすかな声は、神楽の叫びでかき消された。
「これでちょっとはやわらかくなったんじゃないかな、股関節。どう?」
神楽が背中ごしに少年の股に手をのばそうとしたので、少年はあわてて
立ちあがった。
「ハイ、やわ、やわらかくなりましたっ」
「よし、じゃあもう一回泳ごう。絶対さっきより速くなってるよ」
「あの、その前にトイレ行ってきていいですか」
「なんだ、我慢してたのかー? あははは」
神楽の笑顔はやっぱり無邪気だった。
遠ざかる少年の背中に、神楽が大きく声をかけた。
「もし速くなってなかったらー、もっとキツいストレッチしてやるからなー!」
その言葉を聞いて、少年の股間はまた固くなってしまった。



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