
- 482 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/04 03:11 iHPlCzjL
- 「それじゃあ一学期おしまい!明日っから夏休みよ~!!」
教壇でゆかり先生がそう言うが早いがクラスの皆が弾かれたように
騒ぎ出す。
無理もない。明日から一ヶ月以上の長期休暇が待っている。
健全な学生ならば「夏休み」という言葉を聞いただけで胸が高鳴りを
抑えきれないハズ。私だってそうだ。
…最も手渡された成績にも動悸がしたけど。
と、とにかくそんな訳で私の周りの奴等は完全に夏休みモード。とっとと
クラスから出て行くグループもあれば、輪になって夏休みの計画を練っ
いるグループもある。
智にいたっては机の上で大声で何か言いながら飛び跳ねている。すぐ
隣でそれを冷ややかに見つめているよみの姿が対照的だ。
そんな中、私はアイツの姿を探してみる。
ー…いた。
この異常な程ハイテンションな空間の中で一人黙々と鞄にプリント類を
入れて帰り支度をしている。
相変わらずマイペースというか、冷めてるっていうか…。
そんな彼女の姿に苦笑しながらも、私はそいつのいる窓際の後ろの方に
ある席を目指して一直線に歩き出した。
「よう、榊」
私の声にゆっくりと顔をあげる。
その整った顔立ちにやはり表情の変化はない。
私が榊と呼んだ、この美人で長身で無口で無愛想な女性が、現在スポーツの
分野で私の最大のライバルであり、そしてプライベートでは私の最愛の恋人で
もある人だ。
- 483 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/04 04:05 iHPlCzjL
- 「今日は部活が休みだから一緒に帰ろうぜ」
ゆっくりと頷く榊。
「んでさ、午後は時間が空いてるんだし、帰りにそのままお前の部屋に
遊びにいきたいんだけど?」
「え…わ、私の?」
今まで変化がみられなかった榊の表情が動く。細長い眉を僅かに眉間
によせて困惑の相を浮かべている。
……またか、いつもこうだ。
私はまだ一度も榊の部屋を見たことがない。というのも、どういう訳か榊は
私を部屋に入れたがらないからだ。いつも何か曖昧な理由を並べて、結局
この話をうやむやにしちまう。
これこそが唯一といえる私の榊に対する不満だ。
私の部屋にはもう何度も遊びに来たくせに…。
「あの神楽…今日はちょっと…」
私から目を逸らしていつものように断ろうとする榊。
だけど、今回は私は簡単には折れるつもりはない。
「何か用事でもあるのか?」
「…いや、あの…」私の強い口調に榊が怯む。いつもと勝手が違う私の
態度に戸惑っているのか視線が定まっていない。
榊が私を部屋に入れたがらないのは当然何か私に知られたくない秘密が
あるのだろう。それくらい私だって分かっている。
だけど、私達はもう単なる友人なんかじゃない、恋人という仲なんだ。
もちろん、私は榊のことを本当に大好きだ。
だから榊が何を隠していようと、例えそれが他人には理解できないほどの
代物であろうと私は受け入れる自信がある。
それにこの夏は二人だけの楽しい思い出を沢山作っていきたい。そのためにも
榊に対するどんな些細なもやもやも消しておきたかった。
だから私は榊の前に一歩踏み込んで真っ直ぐに榊の目を覗き込んで、もう一度
自分の意思を伝える。
「もしどうしても迷惑なら諦めるよ。…でもそうでないなら、私はお前の部屋に行っ
てみたいな。折角部活も休みなんだしさ。」
- 485 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/04 05:07 iHPlCzjL
- …少し強引過ぎたかな。
帰り道の榊の様子を見ていると、何だか少し反省してしまった。あの後榊から
(しぶしぶ)了解を得れたまでは良かったのだが、今の榊ときたら…。
妙に不安そうな顔をして落ち着きが無く、普段のクールっぷりは見る影もない。
その上私が何を話しかけてもほとんど頭に入っていないみたいで、いつもにも
増してロクな反応が返ってやきやしない。
そんなに部屋を見られることがマズイのだろうか?
そりゃ確かに誰だって他人には隠しておきたいことの一つや二つはあるだろう。
その事に触れないでそっとしといてやる方が、その人を大事に思う選択ななで
はないか?
でも…だからといって、このまま榊の部屋に入れてもらえないというのも嫌だ。
こんなあからさまな隠し事をされたまま、それを見過ごせる程私は出来た人間
じゃあない。それが彼氏…じゃない、彼女ならなおさらだ。
むしろそんな関係にあるわたしを部屋に入れたがらない榊の方がおかしだろ?
そう自分に言い聞かしてみる。よし、自信が出てきた。
榊の足が止まる。
「…ここだ。」
「お、もう着いたか。」
目の前にあるのはなかなか立派な一軒家が建っている。私の家より一回り大き
いかな。小さいけれどよく手入れされた庭も見える。
榊はドアの前に立つと、右側についている右のスカートから鍵を取り出した。
「あれ、誰も家にいないの?」
「両親は平日はいつも夕方にならないと帰ってこないんだ」
ガチャリ、無機質な音がした。やがてドアノブを握った榊は一呼吸置くと観念した
かのようにドアを大きく開けて、私から先に招き入れた。
- 601 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/12 02:00 Qscz/cc4
- 玄関からあがると、すぐに目の前にある階段を上り始める榊。私もその後を
ついて行く。階段を上り終えてすぐ左側にある扉の前で榊の足が止まる。そ
こが榊の部屋ってことか。あ…今更何かドキドキしてきた。考えてみれば友達
の部屋には何回も入ったことがあるけど、好きな人の部屋は初めてだ。しかも
今は榊の親はこの家にいない、私達二人きり…ってな、何を期待してんだ、私
は!
いや、そんなことより…
「榊ぃ、いつまでつっ立ってんだ?」
ドアの前で神妙な顔つきで固まっている榊。まさか、この期に及んでまだ迷って
んのか。しょうがねぇ奴だ。
「…また今度にするか?」
「え…い、いいの?」
「ウソに決まってんじゃん!お邪魔しまぁ~すっ!!」
隙を見せた榊を押しのけて、ドアを開けてずかずかと入り込んだ。
で、私が目にしたもの。
それはネコ……のぬいぐるみ。
とにかく沢山ある。きれいに整理された部屋のあちこちに、ある。
ソファの上とか机の上とかベッドの上とか本棚の上とか窓際とか…。全部では
無いが、ほとんどがデフォルメされたネコのぬいぐるみ。壁にもネコの絵が2、
3飾られている。当然カレンダーも、子猫の絵。あ、よく見ると枕と布団の柄にも
無数のネコのイラストが…。
ここで毎晩榊が寝てんのか。……想像できねぇ。
うん、何ていうか高校生にしては可愛すぎる部屋だ。
特に、あの榊の部屋というには。
- 602 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/12 02:28 Qscz/cc4
- 振り返ってみる。榊はドアの前で顔を赤らめてうつむいている。
「ネコ、好きなんだな。」
私の声に一瞬だけビクリと肩を震わせる榊。でも、下を向いたまま何も言って
こない。
何となく気まずい雰囲気だ。空気を変えようと、私はできるだけ明るい声で榊
話しかける。
「まぁ、なんつーか、そんな恥ずかしがることでもないじゃん。可愛くていいと
思うぜ」
う…白々しい台詞になってしまった。
「もう…いいよ」
小さくため息をついて榊が呟く。
「自分でも分かっているんだ。私には、似合わない趣味だって…」
そう言って榊はゆっくりとベッドに腰掛けた。
あいかわらず榊の顔は赤いままで、私の方を見ようとしない。
そんな榊の様子をみていて悪いことしたなと思う気持ちも生まれていたが、さ
っきからどこか安心してもいた。
要はこいつは自分のイメージに合わない可愛いもの好きである一面を見られ
るのが恥ずかしいだけ…部屋に入れたがらないのはその程度の理由だった
のだ。むしろそんな榊が今は微笑ましくさえ感じる。いつも何事にも関心なさそ
うにしてるけど、結構繊細な奴なのかもしれない。にしても大げさだな。あんな
必死に部屋を見せたがらないから、私はもっとスゴイ秘密を想像してた。
ふいに今まで視線を逸らしていた榊が顔を上げて私と目を合わせた。
「…がっかりしたろ?」
「は?何で?」
確かに意外だとは思ったけど、それだけだ。何で私が落ち込むんだろ。
- 603 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/12 03:07 Qscz/cc4
- 「…だって…神楽は、その、格好良い私が好きなんだろ?」
「…」
なるほど。つまり榊は私が外見だけに惚れたと思ってたんだな。
自分の趣味を私に見せるのは単に恥ずかしいだけじゃなくて、私が失望する
のではないかという不安もあったのか…。どうにであそこまで私を部屋に入れ
たがらない訳だ。
ようやく全部理解できた…。
黙り込んだ私を見て、更に不安に駆られた声で榊は続けた。
「あの、神楽…も、もしこれで私が嫌になったんなら……」
「ガブリ」
私はテーブルの上に置いてあったぬいぐるみを手に取って榊の頭に押し付け
た。
キバの生えた大きな口を広げている、どこか凶暴そうなネコのぬいぐるみだ。
突然の私の行動に榊は目を丸くして呆然としている。
なかなか良いリアクションだ。
「お前な…何を勘違いしてんだよ」
「え?」
私は前かがみになって、ベッドに座っている榊に顔を近付けた。
「ったく失礼な奴だな。私がお前の見てくれだけを好きになったと思ってたのか
?私はな、榊っていう人間そのものに惚れてんだ。お前のカッコいいとこだけじゃ
なくて、その無口で無愛想で何考えてっかよく分かんねぇトコ全てひっくるめてな」
そこまで言うとさすがに恥ずかしくなった。
自然声のトーンが小さくなる。
「…だからさ、つまらないこと気にすんなよ。お前がどんな趣味持ってたって…そ
んな事で嫌いになんて絶対ならないからさ」
「神楽…」
榊の目からうっすら涙が滲み出てきた。私はそれをそっと指で拭ってやる。
「大げさだな…」
そのまま榊の頬に手を添えてキスをしようとぐっと顔を近付けた、までは良かった
が、バランスを崩して前のめりに倒れこんでしまった。
かなりカッコ悪い。
榊は私を抱きとめたが、勢いでそのまま二人共ベッドに倒れ込んだ。
- 661 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/22 02:42 JmoRxMp4
- 「あ…ご、ごめん!!」
慌ててベッドに両手をついて榊から体を離した。
が、その体勢のまま私は動けなくなってしまった。
なんせ今私のすぐ下にはベッドで仰向けになっている榊がいる。
それに…私を見つめる榊の瞳がどことなく熱っぽい気が…。
この状況って、チャンスなのか?
ゴクリ………思わず唾を飲み込んでしまう。
「神楽」
榊の手が伸びてくる。
私の頬を撫でるようにかすめて、ゆっくりと首に腕を回される。
「…いいよ」
その言葉に私は完全に吹っ切れた。もう一度榊に覆いかぶさり、唇を重ねた。
……甘い。
それが榊とした初めての深い口付けの率直な感想。
甘露って、こういう味なんだろうな…。
榊と舌を絡ませながら、私はぼんやりした頭でそんな事を思った。
「ん…ふぅ、はぁ」
もっと強く、深く榊を味わいたくて顔を少し横に傾けて側面から榊の唇を奪っ
てみる。
「ちゅ……んくっ」
そのまま私は何度も榊の唾液を吸い上げて飲み込んだ。
どれくらい時間が経っただろうか。
私は榊からゆっくりと顔を離した。
「あ……」
名残惜しそうな表情で榊が声をあげる。
「また後でしてやるよ」
そう言って私は榊の制服に手をかけてめくりあげた。
- 662 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/22 02:46 JmoRxMp4
- 「へぇ、やっぱキレイな形してんだな」
「やっ…」
私の言葉に榊が恥ずかしそうに両手で胸を隠した。
「へへ…隠さなくてもいいだろ?一応女同士なんだしさ。
…触るよ?」
私は榊の手を外すと、ゆっくりと揉み始めた。最初はできるだけ優しく、外側
からじっくりと時間をかけてその感触を楽しむ。
榊はその間目を閉じて声をずっと押し殺している。そんな榊に私は少し意地悪をした
くなってしまった。
いきなり敏感な突起をつまみあげてみる。
「あぁっ!!………っく」
自分の出した声に驚いて榊は慌てて口を両手で塞いだ。
「何だよ。声、聞かせてよ」
榊は口を手で覆ったまま、いやいやするように首を激しく横に振る。
「ふぅん、まぁいいや。それなら…」
私は榊の胸を下から強く掴みあげて先端を咥え込んだ。
もう隆起してしまったそれを舌で舐め上げ、押しつぶし、軽く歯をたててやる。
「ん…あっ!やぁっ………あ、あああ!!」
必死に我慢しようとしていた榊だが、私の執拗な胸への愛撫に耐え切れずに声
が漏れる。
榊が感じてくれている…。
その事が嬉しくて、もっと反応が見たくて私は思いつく限りのことを試してみ
た。
榊ももう声を抑えていない。榊の手は今や私の頭と背中にまわされており、私が
与える刺激を積極的に求めてくれている。
「ね…榊、そろそろこっちもいいかな?」
片手で胸への愛撫を続けながら、もう一方の手をスカートに滑り込ませて下着の
上からそっと触れる。
「ん…、そ、そこは…」
「今更何を…。誘ったのは、お前だろ?」
「でも…やっぱり、まだ恥ずかしい…」
- 663 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/22 02:49 JmoRxMp4
- 強引に下着を脱がしてもよかったけど、私と榊の初めての経験なんだし、
ここは榊の意見をできるだけ尊重してやるべきかな。…できるだけ。
「分かった。じゃあ、脱がさないままで…させてくれよ。
これなら我慢できるだろ?」
私は下着の中に手を差し込んで、もう十分に濡れそぼった秘所に手をやった。
割れ目に沿って何度も指を往復させる。
「はぁ………」
しばらくその行為を続けていると、強張っていた榊の体から徐々に力が抜けて
いくのが分かった。
もう、大丈夫かな。
「榊、そろそろ…入れるね?」
恐る恐る頷いた榊に軽くキスをして、私は榊の中に中指を差し入れた。
そのまま慎重にゆっくりと指を動かす。
「あ……はあっ…んく……うんんっ」
榊の口から嬌声があがる度にどんどん溢れてくる榊の蜜。
次第に私の指の動きも滑らかになっていく。それに応じて間隔が短くなってい
く榊の呼吸。
私自身何もされていないのに榊の痴態に視覚が、熱い吐息と秘部から聞こえて
くる水音に聴覚が刺激されてしまい、私の体に熱が高まってくる。
その火照りをごまかすように、私は夢中で榊の奥の一点を強く攻め立てた。
「か…かぐ、ら……」
掠れた声で私の名を呼びながら、榊が震える手で私の制服の裾を掴んだ。
「ああ……か、神楽ぁ……!」
「いいよ、榊…イカせてやるよ」
私は中指の動きをいっそう激しくすると同時に、親指で陰核を擦り上げてやった。
その瞬間榊の肉壁が私の指を痛いほど圧迫してきた。
「…っ!?」
「やっ!神楽っ……あぁぁぁっ!!」
榊は私の前で体を震わせて絶頂に達した。
- 664 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/22 02:55 JmoRxMp4
- 「さ、榊…大丈夫か?」
私は枕元に座ってベッドでぐったりと横になっている榊に話しかけた。
「うん…」
榊は先ほどの余韻がまだ残っているのか、どこか惚けた表情のままだ。
やがてゆっくりと腰を上げて私に尋ねた。
「…神楽は、されなくていいの?」
「え?い、いいよ私は……榊が感じてくれてるとこ、いっぱい見れたから。
十分満足したさ」
「!……ばか」
榊はまた顔を真っ赤にすると近くにあったぬいぐるみをギュッと抱きしめて
私を睨みつけてきた。
か…かわいい。
初めて榊をそんな風に思った。
普段は凛として綺麗なのに、今私の目の前にいる榊は何とも言えず可愛らしかっ
た。
こんな榊も…悪くないな。いや、むしろ……。
「…榊ぃ~!!」
何だか無性に榊が愛しく感じられて、私は榊の胸に飛び込んで強く抱きすくめた。
榊の肌の感触がとても心地良い。
「あぁ~、榊!なんか…すっごく好きだ」
「う…うん。……私も神楽の事、好きだよ」
私のいきなりの行動にちょっと戸惑いつつも榊は私を抱き返してくれた。
ああ……幸せだ。
夏休みを明日に控えたその日、榊はようやく心の底から私を受け入れてくれた。
ついでに身体も。…そう、私達は真に結ばれたんだ。
きっとこの夏は素敵な思い出が沢山作れる。今ならそう確信できる。
大好きな榊がいてくれるのだから。
私は榊に髪を撫でられながらゆっくりと目を閉じた。
- 665 名前:夏の思い出 投稿日:04/07/22 03:01 JmoRxMp4
-
しばらくそうして抱き合っていると、榊が耳元で囁いてきた。
「ねぇ…、神楽……?」
「…ん?」
「君は…私の……初めての恋人だし、…初めて身体を許した人でもある…」
「うん…。」
「だから…責任、取ってくれよ?」
「へ?…あ、あぁ。」
訳が分からないままつい返事をしてしまった。
責任?取れ?それって、………どういう事だ?
言葉の真意を読み取ろうと、榊の顔を見上げてみる。
だけど榊は私に悪戯っぽい笑みを浮かべるだけで、それ以上何も言っては
くれなかった。
(終)
- 710 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/08/03 03:39 rsJAwu9A
- 今は夏休み。今日は水泳の部活が午前で終わりだったので、午後から
榊と映画館に出かけた。
ちょっと前から榊がずっと見たがっていた「捨て猫物語2」っていう、
いかにも榊が好みそうな映画を見ることになっている。
前作は榊一人で見に行って、随分と感動したらしい。
私だって注目してたアクション映画があったんだけど今回の榊は今までに無く
強情で、この映画を見ると言って譲らなく、さすがの私もとうとう根負けして
しまった。よほど私に見て貰いたいそうだ。
館内に入ると、二人並んで座って映画が始まるのを待った。
その間の榊ときたら…
「本当にいい映画なんだ。神楽もきっと感動するよ」
なんて喜々とした表情で話しかけてくるものだから、私も悪い気はしない。
榊につられたのか、私も今まで大して関心が無かったその映画が少しだけ
楽しみになってきた。
「どんな内容なんだ?」
…なんて乗ってみたりする。
「前の飼い主に捨てられてしまった猫が、新しい飼い主に出会うまでの苦難の
旅を描いたものだ」
榊はさっき買ったパンフレットに目を落として答えた。
「ふぅん。…上映時間はどれくらいあるの?」
「2時間50分」
「え゛っ!?」
それを聞いて、思わず椅子からずり落ちそうになった。
……そんなに長いなんて、ただでさえ水泳の練習で疲れてるというのに。
こりゃ榊には悪いけど、途中で寝ちまいそうだ。
私が小さなため息を吐いたと同時に、開演のブザーが鳴り響いた。
- 711 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/08/03 03:41 rsJAwu9A
-
「おい榊、もういい加減に泣き止めって」
「だって…」
映画が終わってからの榊はずっとこんな調子だ。
パンフレットを胸に抱きしめたまま涙を流し続けている。
よほど心を打たれたらしい。
私の方はというと思ってた通り映画の序盤から眠り込んでしまい、
目を覚ました頃にはすでにエンディングを迎えていて、泣くどころか
話の記憶はほとんど無い。幸いなことに、榊は映画に夢中でその事実に
気付いてないみたいだ。あれほど薦めてた映画を寝過ごしてしまったなんて
知られたら、さすがのコイツも………。
「君は…感動しなかったのか?」
ギクッ!!…何てタイミングで聞いてくるんだ。
「え?あ~、…いや」
動揺しまくる私。そんな私の様子を見て榊が低い声で呟く。
「………寝てたな?」
榊は涙を指で拭うと、私のことを恨めしそうな目でじっと見てきた。
怒らせると怖いんだ、榊は…。
「ご、ごめん」
うぅ、榊から静かなプレッシャーが……た、耐えられない。
何か気を紛らわせるものはないかとさりげなく周囲を探っていると、不意に
私達の目の前に一匹の猫が飛び出してきた。
その猫は私達の姿を認めると、そのままじっとこっちを見つめたまま動かなく
なった。
しめた。これで榊の気を逸らせる。
「なぁ、榊。この猫ってさっき見た映画に出てた猫と、ちょっと似てない?
案外こいつもご主人求めて苦労してるかもしれないぜ?」
- 712 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/08/03 03:44 rsJAwu9A
- するとどうした訳か、突然榊がまた顔を伏せて泣き始めた。
「おい…榊?」
「マルコ……」
「マ、マルコ?」
…誰?
戸惑う私を見向きもせずに、そのまま榊はその猫の方へフラフラと
歩き出した。
そしてゆっくりと猫に手を伸ばしていく。
どうやら撫でてあげるつもりみたいだ。
まったく本当に猫が好きなんだからな…おかげで助かったけど、なんて思って
いたら……
「うっ!!」
突然榊のうめき声が聞こえてきた。
………噛まれてる。
榊は手をジタバタさせて必死に振りほどこうとしているが、その猫は榊の手に
しっかりと食いついたままで一向に離れる様子が無い。
あの猫…私の榊に何てことするんだ!!
私は急いで榊の元へ駆け寄った。
「榊から離れろ!…この、バカ猫っ!!」
私は右手を高くあげて猫めがけて振り下ろし、榊から叩き落としてやった。
地面に落ちた猫はすぐに体勢を整えると、その場から逃げるように去って
いった。
- 713 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/08/03 03:47 rsJAwu9A
- あの猫、今度見かけたら厳しく仕付けなきゃな。
…っと、今はそんなことより…。
「榊、手ぇ大丈夫か?」
「…うん」
「本当かよ?ちょっと見せて」
私は榊から強引に噛まれた方の手を取って傷の具合を確認しようとした。
…が、
「何だこれ!?」
榊の手のひらを見て私は呆気にとられた。榊の手には先程できたばかりの
傷口以外にも、大小多数の噛まれた痕が残っていたのだ。
「お前…これ」
「…いつものことだ。もう慣れた」
「…!」
あれだけ長い時間榊と過ごしておいて気付かなかったとは…。内心自分の
迂闊さに舌打ちする。それにしてもこれはひどい。
「いいんだ。動物に罪は無い。…いつも無理に触ろうとする私が悪いんだ。」
そう言って榊は寂しそうな顔で笑った。その顔に私は胸が締め付けられる
思いがした。
榊ほどの猫好きな奴なんてそうはいない。そんな榊が猫に触れることも
叶わないなんて…。
- 714 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/08/03 03:50 rsJAwu9A
- 榊の手を掴んだまま、気難しい顔をしている私の考えてることを
察したのだろうか。榊はそっと私から手を引くと穏やかな口調で私に
声をかけてきた。
「本当に今はそんなに気にしてはいないんだ。今の私には、神楽が
いるから。君には…好きな時に触れられる。触れてもらえる」
そう言って私の頭を軽くポンポンとたたく。
「それで十分だ。さ…もう帰ろうか。傷も大したことはない」
「…あぁ」
どこか釈然としなかったが、榊の照れくさい言葉にうまく言いくるめ
られてしまった。
それっきり榊は何事も無かったように普段の調子で私と接し、やがて
お互いの帰路に着いた。
その日の夜、私はベッドで横になって今日の出来事を思い返していた。
猫が好きな榊…。猫に嫌われる榊…。
榊は気にしてないと言ってたけど、…それならあんな寂しそうな顔、
するわけないよな。
…榊のために何か私にできる事はないだろうか?
でも相手は動物だ。こっちがどう頼もうと言葉が通じないし、思い通りに
動かせるもんじゃない。
それでも猫に触らせるだけなら方法はあるはずだ。
例えば、そこらの猫をとっ捕まえて私が抑えてる間に撫でさせる…いや、
そんな強引なやり方でアイツが喜ぶ訳ないよな…。
やっぱ猫が榊を好いてくれるってのが一番だろうし……となると
私にはどうしようもないか…。
…はぁ~、もし私が猫だったら思う存分榊を喜ばせてやるのに……………。
ん?今私、何て思った?私が、何だって?
ベッドから勢いよく身を起こす。
「そうか…これはイケるんじゃないか」
やってみる価値はある。…少々気は進まないけど。
- 893 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:41:05 uZAPSq2X
- それから二日後、私は榊を部屋に招き入れた。そう、アレを榊に見せるために…。
そのために昨日は街のあちこちを探し回ったんだ。
「ま、そこのベッドにでも座っててよ」
素直に従う榊。毎度のように、遠慮がちに私のベッドの隅に腰掛ける。
よし、とっとと実行しようか。
「あのさ…榊、悪いけどちょっとの間だけ目を瞑っててくれない?」
「え?」
私の言葉に榊が顔を赤く染めた。
「か…神楽」
「ん?」
「もう…するのか?もう少し話をしてからでも……」
「……お前、何勘違いしてるんだよ」
「…え、違うのか?だ、だって…目を閉じろって…」
消え入りそうな声で榊が返す。自分の恥ずかしい早とちりで耳まで真っ赤になっている。
いや、榊は私とキスするときはいつも目を瞑ってるから、そんな勘違いも仕方無いのかも……ってそうじゃなくて!!
私まで真っ赤になって、大声で反論する。
「な…何言ってんだよ!きょ、今日はお前に見せたいものがあって、驚かそうと思って
だな……。お前ったら………あぁ、もう!!いいから早く目を閉じろよ!」
榊はまだ何か言いたそうだったが、今度こそ黙って目を閉じた。
…まったくやりにくくなっちゃたな…。
私は頭の中でぼやきながらも、静かに机の中に隠しておいたあるものを取り出し始めた。
- 894 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:42:07 uZAPSq2X
-
…数分後。
「よし……じゃあ、目を開けていいよ」
準備を終えて榊の前にそっと立つ。
榊は目を開けて私の姿を見る。
「あ…」
その瞬間、榊の目が大きく見開かれた。
「か、神楽…そ、それって……?」
榊は震える右手で私に向かって指をさす。
…う~ん、まぁ、榊が驚くのも無理はない。なんせ今の私の格好ときたら…。
私の頭には獣耳がくっ付いたヘアバンド、俗に言う猫耳の装着に加えて、手足には同じく猫の手足を型どった手袋、足袋をつけている。要するに猫のコスプレってものをやって
いるのだ。…それ以外はTシャツとジーパンという、何の変哲も無い服装だけどね。
たったこれだけのオプションによる簡単な"猫化"だったけど、どうやら榊にはかなりの効果があったみたいだ。今の榊の表情は猫やその他の動物に向けられるあの何とも言えない表情になっている。
私は私の姿を見たまま固まって動かない榊に歩み寄って、ちょこんと膝の上に乗っかってやった。
「…どうだ、榊。似合ってるかな?」
すると榊は無言のまま、何度も激しく頷いた。
- 895 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:45:03 uZAPSq2X
- 「あの…触っていい?」
「うん…」
榊は(何故か)恐る々々私の方へ手を伸ばしてきた。
そんなに緊張しなくても……。
私の頭に榊の指先が触れた途端に榊の動きが止まり、私の顔をじっと見つめてきた。
「……何?」
「いや…噛まないのかなって…」
「んな事する訳ねぇだろ」
私が半ば呆れながら答えると、榊の顔に喜色が浮かんだ。私の頭に触れられていた榊の手が動き出し、私を撫で始めたかと思うとグッと引き寄せられて今度は頬を擦り合わせてきた。
「あぁ~…可愛いなぁ……」
どうやらかなり気に入ってくれたらしい。榊は我を忘れたようにそのままホントに、
ほんと~に長い時間私に全身で触れ続けた。その間私は黙ってされるがままで、くすぐったさにただ耐えていた。今の私達の光景はさしずめ大きなぬいぐるみとそれを可愛がる
少女って感じだろう。
「わわっ!!」
榊の右手が背中にまわっていたかと思うと、いきなり私のお尻をさすってきた。
「なっ…何を!?」
「…尻尾はついてないのかなと…」
「…」
あぁ、そこまでは気が回らなかった……じゃなくて、そこまでこだわるなよ!!
…第一どうやって尻尾なんてつけるんだ…。
- 896 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:48:15 uZAPSq2X
- 「それにしても驚いた」
「何が?」
「君にこんな趣味があったなんて…」
榊は私から身体を離すと、榊の膝の上に跨っている今の私の姿をまじまじと
眺め始めた。
…今更だけど、やっぱり恥ずかしすぎるよ。
榊の視線に私は顔から火が出そうだった。
「じ…じろじろ見るな!だいたい、これは私の趣味じゃねぇよ!!」
キョトンとした顔になる榊。
「…それなら、何でこんな格好を?」
「……それは、だって…」
私は榊に倒れかかり、榊の胸にうずくまった。
「…だってさ。榊、あんなに猫好きなのに触れなくて…可愛そうだなって、
何とかしてあげたいなって…」
言いながら照れくさくて、榊の背中を人差し指でつつとなぞる。
「それじゃあ…私のためだけに?」
静かな、それでいて優しい声。
私は榊の顔をゆっくりと見上げた。
「当たり前だろ。お前のためじゃなけりゃ、誰がこんな恥ずかしい格好すんだよ。
…ばか榊」
「神楽!!」
名前を呼ばれたかと思うと、不意に強い力で抱きしめられた。
- 897 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:50:05 uZAPSq2X
- 「ちょっ…さ、榊?」
「神楽…好き……大好き…」
榊は私の耳に唇をくっつけるとそう熱っぽく囁いた。
そんな榊の甘い囁きに頭のてっぺんから足のつま先まで痺れるような快感が駆け巡って、
理性が弾け飛びそうになる。今すぐ榊を押し倒してしまいたい…。
だけど、まだダメ……。とっておきのものを、渡してから…。
私は榊の肩に手を乗せて少しだけ距離を空けると、ポケットから取り出したものを榊に手渡した。赤くて、ちょっと短いベルト…。榊は不思議そうにそれを眺めている。
「…これは?」
「首輪だよ。……榊が、私につけて」
無茶苦茶恥ずかしかったけど、榊は私の意図が理解してくれたみたいだ。
榊は私にそっと首輪を繋いだ。
「これで…今の神楽は私だけのものだな…」
「へへ…それでは」
私はニヤッと笑うと榊をいきなりベッドに押し付けた。
「たっぷり可愛がってくれたご主人様に、お礼をしなくちゃ…」
「…したいだけのくせ…んっ」
まだ榊が全てを言い終わらない内に唇を奪う。
榊の体が強張ったがそれも一瞬の事。すぐに力が抜けていくのが分かる。
しばらく唇を合わせたままでいると、たまらずに榊は息を吸おうと僅かに口を開いた。
「はぁ…っふ、んぅ…」
それを狙って榊の口内に舌を侵入させる。榊の唇の裏をゆっくりとなぞってやると、
榊も負けじと舌をだして私のそれと絡み合わせてきた。
- 899 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:51:14 uZAPSq2X
- 「…ん……っは…」
私達の唾液が榊の口から漏れて首筋を伝う。
私は榊の口から漏れた唾液を舌で舐め取ると、そのまま榊の顔のあちこちに舌を這わせた。額に、瞼に、鼻に、頬に……。やがて耳にまでその行為が及んだとき、榊が軽く身じろきをする。
「…くすぐったいよ……舐めてばっかり……」
「だって…ネコだし」
耳への愛撫を続けながら私は榊のシャツを捲り上げ、ブラの下に手を滑り込ませて胸を
撫でさすった。
「…あっ…な、何か毛がチクチクして変な感じだ……」
「こんなのも、悪くないだろ?」
榊がほんの僅かだが、首を縦に振るのが分かった。
今の私の手には猫の手袋がつけられてるので、細かい指の動きができなかった。
だけどこれはこれで意外な刺激を榊に与えてくれたみたいだ。
もう一度榊に口付けをすると今度は榊の首筋に舌を這わせ、それからゆっくりと移動して鎖骨を味わう。
「榊…ちょっと腰浮かせて」
榊とベッドの隙間に手を差し込んでブラのホックを外してやると、榊の豊かな胸が露になった。胸の先端を口に含み、舌で優しく愛撫していると榊に頭を掴まれる。
「ん……カワイイ…」
「何だよ…急に…」
「ふふ…。だって、猫耳つけて…神楽、本当のネコさんみたいだなって…」
榊は猫耳に触れながらうっとりとした表情で私を見下ろす。
「…だけど、可愛いのはお前の方だろ?」
そう言って榊の胸に軽く歯をたててやった。
「あん…」
「ほら…な?」
- 900 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:54:02 uZAPSq2X
- 榊の足からズボンを取り去った時には、予想通りというか、榊のショーツはもう
すっかり濡れきっていた。
「や……っ…」
「待ったなしだよ?」
恥ずかしがる榊から素早くショーツを脱がせる。
榊は両の手で自分の顔を隠しだす。
「うぅ…」
「ホント、慣れないんだな。…まぁ、そういうトコも好きなんだけどね」
榊に優しく微笑んでやると、榊はぷいと私から目を逸らせた。
「…やっぱり、お前の方が可愛いじゃん…」
私は榊の秘部に顔を近つ゛けると、下から上へと舌でゆっくりと割れ目をなぞり
あげた。途端に榊は嬌声をあげる。
「…ああっ……そ…んなとこ…!」
「んふふ…。おいしい……」
私は榊の秘部から滴り落ちる雫をわざと音を立てて舐め取り、榊にも聞こえるように
大きく喉を鳴らして飲み干してやった。
「…はっ……ああぁっ、……く…ぁっ…」
ずっと続けてると榊の呼吸の間隔が徐々に短くなってきた。
もう限界も近いのだろう。
「か、ぐら……だ…だめ、あ、あぁ…」
私はそんな榊に止めを刺さんばかりに秘部への舌使いをよりいっそう激しくした。
「うあっ……ああ、…あ…ふぁ、…あぁっ!!」
やがて悲鳴にも似た声をあげて榊は果てた。
- 901 名前:夏の思い出2・恋猫 投稿日:04/09/20 00:58:02 uZAPSq2X
- 「どうだった、榊?猫に可愛がられる気分になれた?」
余韻冷めやらず、胸に手をあてて息を整える榊の隣にそっと寄り添った。
「…すごくよかった。そして何より…」
榊は身体を横にして私の方へ向き直り、私の手首を優しく握る。
「神楽の気持ちが嬉しかった」
「榊…」
一点の曇りも無い私への素直な感謝の気持ち。そんな榊の言葉が私の心を満たす。
ああ…榊。そんな綺麗で優しいお前だから私は何だってしてやれるんだ…。
見つめあう二人。再び私達を甘い空気が包む。
ところが榊ときたら……。
「でもどうせなら尻尾もつけて欲しかったな」
「ん…そ、そうか」
こ、こんな良い雰囲気で言うなよ…。…榊のばか。
「そうだ、今度一緒に買いに行こう。お金は私が出す」
「あ…あの、榊?」
「いや…どうせならネコだけじゃなくて、他の動物のカッコもして欲しいな」
「へ?ちょっ…」
「イヌさん…ウサギさん?クマさんってのも似合うかも…」
「待て…おいって!」
駄目だ…もう自分の世界に入ってる。こうなった榊はもう止められない。
一体私…どうなっちゃうんだ?
「…だけどね」
途方に暮れていると不意に榊が私の猫耳を取り去った。
「やっぱり私は、そのままの神楽が一番好きだよ?」
「へあ?」
突然の榊の告白。顔を真っ赤にして口をパクパクするだけの私。
そんな私を見てクスリと笑うと、榊は私のおでこに唇を落とした。
(終)