
- 814 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:51 xaNXl4hZ
- 私は机に向かっていた。もちろん、迫った受験のために。けれど、勉強は上の空だった。
神楽を力づくで犯してしまってから、今ぐらいの時間でちょうど丸一日になる。あの、
自分がしてしまった今までで最悪の行為から、意識を離すことなんてできなかった。
今まで、無理やりしたということはあった。こらえ性のない私は、そうやっては
神楽に叱られてきた。叱りながらも、最後は許してくれた。それにさんざん
甘えてきた。そして、昨日。神楽は叱ってくれなかった。
神楽を本当に傷つけてしまった。全て私のせいだ。私が神楽を力づくで犯さなければ。
私が今までに少しでも自分のしていたことを反省していれば。私が神楽と体の関係を
持ちたがらなければ。そして……私が神楽に恋なんかしていなければ。
後悔が頭の中をぐるぐる回って止まらない。でも、その後悔の中に、私に力づくで
犯されているときの神楽の姿が浮かんでしまう。自分のいやらしさに頭が痛くなる。
……だめだ。勉強しなければ。一時でも忘れて、落ち着いて後で考えないと。
- 815 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:53 xaNXl4hZ
- どれくらい経ったのだろうか。なかば無意識に、右手で自分の左胸をまさぐっていた。
「神楽……」
浮かぶのは、私に押さえつけられて泣きわめく神楽。
(ねえ……あのときは……痛かったの? それとも気持ちよかったの?)
胸に電流が走り、首筋が震える。
(……怖かったの? 楽しかったの?)
記憶の中の神楽は、確かに、泣きながらも快楽を味わっていた。
(……悲しかったの? 楽しかったの?)
私は……ひどいことをしたのに。なぜだ?
「神楽……ぁ……っ!!」
自分の吐息が荒くなったのを感じた瞬間、我にかえり、反射的に教科書を投げ飛ばした。
壁に当たった教科書が床に力なく寝そべり、衝撃で棚のぬいぐるみが二つ、転げ落ちた。
「……何をしている」
自分に訊いても、答えは返ってこない。……違う。本当は、答えはもう出ているんだ。
決着は、自分でつけなくてはいけない。
- 816 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:54 xaNXl4hZ
- 「……入れよ」
ぼそっと神楽が言った。彼女の部屋は、心なしか荒れていた。部屋に入るなり、神楽が
口を開いた。
「ご、ごめんな、昨日は、その……」
私も慌てて口を開いた。
「い、いや……本当に悪いのは私……」
「私、その、わがままで悪かったよ……」
これでは、決着はつけられない。
「待ってくれ……」
神楽を止めた。
「私が、本当に悪かった。なにもかも」
神楽が私の手をつかんだ。
「ち、違うって! 私が榊を怒らせてそれで」
「待ってくれ」
- 817 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:55 xaNXl4hZ
- もう一度、神楽に黙ってもらった。
「私が、いけない。昨日のことは本当に……すまなかった」
神楽が鼻をすすりあげた。涙を必死に堪えているようだった。
「いままでも……。私の勝手で、神楽をいいようにしてきた……。それで……神楽は、
私のせいでおかしくなって……」
「ち、違うだろ! それは」
神楽の手に力がこもる。私を離したくないと訴えるように。
「全部……いつも……私の勝手を聞いてもらって……それで」
「…………」
「最後の、勝手を言わせてくれ」
視線がぶつかる。声が喉に詰まって息もできない。あの日と同じだ。神楽に初めて
気持ちを伝えた日と。あの日は逃げ出そうと思えばできた。でも、今日はできない。
言わないと、いけない。
「……終わりに……しよう」
「……え?」
神楽の視線に耐えきれず、私は床の一点を見つめた。そんな私の頭に、神楽の視線が
とても痛い。
「お別れだ……」
「…………」
私の手を握っていた神楽の手が、すっとほどけていく。痛い。とても空気が痛い。
「ごめんなさい……」
沈黙が流れる。時間だけが過ぎていく。
- 818 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:56 xaNXl4hZ
- 「……っ……っ」
神楽ののどから、空気の漏れるような音がしている。神楽も泣いているのか。
私の目からは、とっくに涙が止めどもなくあふれていた。
「くく……くくっ……」
違う。笑い声……なのか?
「くく……はは……」
神楽は、笑っていた。弱々しく、乾いた声で。顔を上げて神楽のその姿を見た。
とても悲しい、苦しそうな姿だった。
「榊も……ははっ……冗談がうまくなったな……ははは」
私の涙は止まらない。神楽の笑いは止まらない。
「ははは……冗談をまた……あのときみたいだな。な、冗談だろ?」
私は首を振った。
「冗談だろ? ……冗談って言えよ」
私は首を振った。
「……冗談って言え」
私は首を振った。次の瞬間、左ほほに風を感じた。たたかれたと分かるまでに、
時間がかかった。
- 819 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:57 xaNXl4hZ
- 神楽の目から、ぶわっと涙が溢れ出す。
「ふざけるなよ……。ふざけるのもいい加減にしろよ!」
二、三発ほほをたたかれた。
「いきなりそんな、ふざけてんじゃねーよ! なんだよ! くそ……。
あれか!? 受験が近づいて邪魔になったか!? ええ!?」
「…………」
「訊いてんだよ! 邪魔なんだろ! どーぜバカの私なんか! ああ、そんなの最初から
分かってたよ! そういや体育会系も嫌いだったな! 嫌い嫌い!! そうだよな!?」
ひざががくがく震えて、今にも崩れ落ちそうだ。ぐらぐらと景色が揺れて、気分が悪い。
これだけなら、まるで、本当にあの告白の日のようだった。
「何か言えよ! はっ、元通りクールで無口な榊さんに逆戻り、かよ。そうだな、
私にきく口なんてないもんな! そうなんだろ!」
違う。そうじゃないことを、自分で伝えないと。それが私のしなければ
いけないことだから。
「……ダメに」
「え?」
息を吸い直す。
「このままじゃ……二人とも、お互いに溺れてダメになってしまうと思うんだ……」
「な……」
「大切なことが……神楽にも控えてるのに……。私は……だから」
- 820 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:58 xaNXl4hZ
- 神楽が、突然媚びた目つきになった。上目遣いで、私を見上げる。私と恋人になるまでは、
神楽はこんなことはしなかったのに。私のせいだ。
「そ、そうだよな……。それは……悪かったよ。べ、勉強とか、する、するから!」
「…………」
神楽が、私にすがる。
「するから! 絶対! だから、お別れなんて言わないで! ね、頼むよ。
大丈夫だよ、ちゃんとする! 邪魔しないよ! ね、お願い、お願いだよぉ……」
「…………」
神楽の声が小さくなる。うつむいて、動かなくなる。
「お願い……。お願い……お願い、聞いてくれないのか……?」
「……ああ」
「じゃあ、私は、どうなるの?」
神楽がまた顔を上げた。また視線が突き刺さる。痛い。でも、この痛みには
耐えなければいけない。これが私の罰だから。
「本気で……好きにさせられちゃって……ライバルなのにさ……。わかってんだろ?
榊なしじゃ、ダメだ……」
私は、本当になんてことをしてしまったのだろう。これだけの罰じゃ、とうてい足りない。
「昨日も、今日も、ずっと榊のこと考えてた。どうしたら許してくれるかなって。
それが分かんなくて、とにかく謝ろうって思ってて……思ってて……」
いっそ消えてしまいたかった。自分の欲望のままに、神楽の体も、心もかき乱した。
私は、ひどすぎる。
- 821 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 00:59 xaNXl4hZ
- 「……取り消して、くれねーのか」
「本当に神楽の将来を考えたら……」
不意に、お腹のあたりに、重いものが押し込まれた。よく分からないまま私はひざを
ついて崩れ落ちた。みぞおちに当たったのは、神楽のげんこつだった。
「……取り消してくれねーなら、同じことするだけだ」
神楽の目が、ギラギラと光った。お腹の苦しさの中で、ぼんやりと、ああ、神楽、
かみねこみたいだな、と思った。
「しょうがねーだろ! 考え直してもらえないんだから! ああ、もう、くそっ!
マジでイライラする! しらねーぞ! くそっ、なんでこんな……」
私は神楽に食べられてしまう。そう思った。そして、直感通り、神楽が私に覆いかぶさる。
「本当、好きなのにな……」
私も、神楽は本当に好きだ。だから、この私で済むなら、神楽に差し出そう。
好きにして、そして私を忘れてくれればいい。
- 822 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:00 xaNXl4hZ
- 丸裸にされた私は、何もかぶせられず、ベッドの上に転がされていた。両手には、
私がかつて神楽に使ったおもちゃの手錠がかけられている。それでいい。
私にはこれがふさわしいだろう。
「……こうやってじっくり眺めるのも、久しぶりだな」
部屋の明かりが、いつもと違って明々とつけられている。その上、冬とはいえまだ
少し日のさしている時間だ。眺められて、恥ずかしくないわけがない。でも、これも
私の罰。
「いざってなると、結構悩むな」
言いながら、のしかかってきた。私の両手を押し上げ、そして力いっぱい私の胸を
しぼった。
「いっ……」
「そりゃ痛いだろうな。優しくしてるわけじゃねーんだ」
そのまま、しばらく黙って胸をしぼられ続けた。じんじんと痛みが広がる。
「ちっ。何か言えよまったく」
反応しない私に飽きたのか、今度は股間に目を向けた。指で広げられ、暖房が
効いているとはいえ冬の空気に晒され、恥ずかしさと重なってぞくっとする。
- 823 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:01 xaNXl4hZ
- 「あんまり、指入れたことなかったなー」
ほとんど受け入れる準備のできていないところに、一本、二本と指をねじ込まれた。
その度に、ひりひりした痛みと、押し広げられる痛みが強くなっていく。
「破っては……いねーんだよな。榊も、私も。……やっちまうか?」
これまで入れたことのない深さまで差し込まれた。膜がどうなってるかは自分の
ことなのによく知らないが、とにかく痛い。本当に、何か破れそうになっているのかも
しれない。
「痛いんだろ? 痛いって言え」
鋭い目で、神楽がにらむ。私は、黙っていた。言ってしまうと、罰にならない気がした。
「言えよ。マジで突っ込むぞ」
神楽がそうしたいのなら、仕方ないと思った。
「くそっ」
神楽は、指を突っ込まずに少し引っ込めて、爪を立てて私の中をかき回した。
かき回しても湿り気もなく、ただずたずたと切りきざまれた。
「痛っ……」
「もっと泣けよ。わめけよ! ほらっ」
神楽がいらいらしながら叫び、今度は胸の突起をいきなりぎゅうぎゅうとつままれた。
突き刺さるように痛かったが、歯を食いしばって堪えた。堪えなければいけなかった。
- 824 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:02 xaNXl4hZ
- 神楽の手が止まった。
「もしかして、それで謝ってるつもりか……!?」
またほほを張られた。神楽は、はらはらと涙をこぼしていた。。神楽をこんなに
苦しませてしまっている自分が、情けなくて悔しくて、たまらなかった。
「いい加減、ふ、ふざけんなよそんな! そ、そんな謝り方……」
「ごめんなさい……」
それしか言えなかった。他に何を言っても、くだらない言いわけにしか
ならない気がした。神楽は、ぶつぶつと何かつぶやいて、涙を浮かべながら私を
見下ろしている。けれど、神楽は動かない。私を痛めつけるのをやめてしまった。
そのままどれほどの時間が経ったのか。
「…………」
なぜか、神楽が急にふっと優しい顔になった。
「ダメなんだ、これじゃ」
「神楽……?」
神楽が、私が別れようと言った理由をようやく納得してくれたのかと思い、私は少し
安心した。だけど、それは私の大きな思い違いだった。
- 825 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:03 xaNXl4hZ
- 「同じようにしなきゃ……本当に同じようにな」
神楽の両手が、ふわっと私の胸を包んだ。そして、ゆっくりと、柔らかく私の胸を揉む。
「な……」
「これで同じだな、榊」
あくまで優しく、柔らかすぎるぐらいの刺激。痛みをこらえていた私の胸から、
それはあっという間に染み込んでくる。
「えっ……う……あ、あ……」
「やっと声出してくれたな、榊……」
うっとりと神楽が口走った言葉で、ようやく私が声を上げてしまったことに気がついた。
神楽の目は……とても優しい目だ。優しいけど、でも決して私を逃がしてはくれない。
本能的に危険を感じた。
「おっと、逃げるんじゃねーぞ」
ぎゅっと抱きしめられる。神楽の暖かさが、かえって怖い。
「いじめさせてあげるから別れてください、ってのがあんたの謝り方。
だけど、それじゃ納得できねーよ。私はそんなに甘くねーぞ。」
「…………」
「ちゃんと聞かせてもらおうか。あんたの気持ちを、あんたの口からな。その間、
私はあんたが今までずっとしてきたことと、ちゃんと同じことをするからさ」
「同じ……?」
どういうことなんだろう。私が神楽を力づくで犯したから、さっきまで神楽も
私を力づくで犯していたのに。
「とびきり優しく、いじめてやるってことさ」
神楽の瞳のあまりの危うさに、危険を感じてとっさに暴れた私を、神楽はしっかりと
組み敷いて得意げに笑った。
- 826 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:04 xaNXl4hZ
- 「さてと、逃げられなくなったところでだな。何で私と別れたいんだよ」
私の胸をやわやわと揉みながら神楽が質問する。時折、きゅっ、きゅっとつかむような
動きに私の息は詰まってしまう。
「言ったはず……。お互いの……ため……だ……」
「それは……私が悪かったんだ。榊に無理言って、邪魔してさ。けど、もうあんなこと
言わねーし、ちゃんと我慢するし」
胸をゆっくりと押しつぶされるように圧され、私は軽くため息を漏らしてしまう。
「は……あ……だって、私が……」
「ん?」
「私が……我慢……きない……」
神楽は私がしゃべるのに合わせて、私の胸の先端をつまんでくる。
「そうかなあ? 大丈夫だよ、たぶんな」
「……ぶん……たぶんじゃ、ダメだ……」
内股を優しくなでられて、それだけでいやらしい私の体はびくびく震えて喜ぶ。
「何でダメなのか、ちゃんと言えよ。じゃないと、ずーっとこのまんまだからな」
神楽が、私の胸の頂点をくわえた。舌で転がされると、ただそれだけで、甘い衝撃に
背を丸めて耐えなければいけなかった。あっけなく崩れそうになる理性を、
かろうじて支える。
神楽の目が、私に続きを促す。
「……たし、か、神楽をおも、て」
「はっきり言え」
一瞬の解放の後、容赦なく、舌の動きが速められる。
- 827 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:05 xaNXl4hZ
- 「神楽、に、ひっ……こうされるのを……。そうぞ……んんっ……して」
「…………」
「じぶん……ああっ! してた……。きのう、あ、ああっ、だから、
わ、たし……いやらし……ダメっ」
恥ずかしさと、浅ましい喜びで、私の頭にどっと血が流れ込んだ。その私の
表情を見てか、神楽が私を解放した。はあはあと、私の荒い息が響いた。
「まだ好きでいてくれてるのは分かったよ。……まじめに話そうか」
私の体の上から、重みがふっと無くなり、私の横に寄り添った。
「私も、榊もさ。努力すれば大丈夫なんじゃねーの? 勉強と、れ、恋愛の
両立ってヤツ?」
「私、さっきだってちょっと、神楽に触ってもらっただけで、ああだったし……。
それに、もっとほかに、努力をするべき、ところが、あるはずだ」
息が切れて、まともに話せない私の話を、神楽はじっと聞いてくれている。
温かい手が、私のほほをそっとなでた。
「悪ぃ。あんなに殴ったりして。……そっか、私は努力不足か」
「そういうなじるような意味じゃなくて……」
「いや、言おうとしてることは分かるよ。だけどさ」
- 828 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:08 xaNXl4hZ
- 神楽の顔が近づき、吐息が私の顔にかかる。温かい。私にはもったいなさ過ぎるほど。
「なあ、榊……私のこと好きじゃねーのか? 大切じゃねーのか?」
「好きだし、大切だから、だから……」
神楽の目を見据えた。本当に、きれいな目だ。吸い込まれそうなぐらいに。
「神楽。いままで、いっぱいわがままを言ってきた。けど、最後……。
かっこいい君を……見せてくれないか」
「…………」
神楽が、そっと私の頭を抱いた。本当に、温かい。
「神楽は……私のせいで、こんなところで腐ってしまう人じゃない……」
神楽はしばらく、声を上げて泣く私の頭を抱いて、じっとしていた。
やがて、私の手錠をそっと外してくれた。
「私も、榊にわがままを聞いてもらうよ。その後、どうするかは決める」
私は、うなずくように、ゆっくり一回だけまばたきをした。
「さっきの続きをさせてくれ。お願いだ」
もういちど、うなずくように、ゆっくり一回だけまばたきをした。
- 829 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:10 xaNXl4hZ
- 神楽は、ゆっくりと優しくキスをしてきた。キスだけで、私の体の中に
ぐっと神楽のぬくもりが入り込んでくるような気がした。
「しょっぱい……口の中切れてるな。本当にごめんな」
「いや、それは涙が……ひっ」
胸の頂点も、本当に優しくくすぐられた。声を押さえきれなかった。
「ごまかすなよ。痛いときは、痛いと言わねーと。私みたいながさつなのは
気づかなーんだからな」
優しくくすぐられ続け、体が熱くなるのを押さえられない。私が高まっているのを
見破ったのか、神楽がおもむろに口を私の胸に近付けた。
「そ、それじゃ、よく噛んで味わって食べてやるよ……」
自分の言葉が恥ずかしいのだろう。真っ赤になりながら、噛むと言うより、くちびるで
挟んだり、くわえたままそっと舌でなでたりしてくる。あっという間にその感覚に
夢中になってしまう。本当に自分が情けない。
「あ……んん……あ、あぅ……」
「榊、榊。苦しいって」
神楽の声でやっと気がついた。私は、神楽の頭を両手でつかみ、胸に押し付けていた。
声を押さえようとしながら、その一方で快楽をむさぼろうとしていた。恥ずかしさに、
頭がかーっとなり、両手で顔を隠した。
「あ、その顔かわいい。隠すなよ」
神楽に手をはがされた。神楽の顔をまともに見られず、目をそらした私の目尻を、
神楽は拭ってくれた。
- 830 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:12 xaNXl4hZ
- 「泣いてるのは、悲しいのか、気持ちいいのか、どっちだよ」
にやにやしながら、神楽が訊いてきた。にやにやしてるといっても、とても
いやらしいというか、色気のある顔をしている。見ているだけであさましく
期待してしまう。そんな顔だった。
「答えてくれないんなら、こうやって訊くだけだけどな。おっと」
私に、ふわっと毛布がかぶせられた。暖房が効いていたとはいえ、こうされた方が
あたたかかくて、ありがたかった。そして、神楽がもどかしげに服を脱ぎ捨てた。
「ごめんな。恥ずかしくて、寒い思いさせてさ。よいしょっと。こうすれば重くないよな」
私の上にかけられた毛布に神楽がもぐり込む。毛布から出した頭を私の足の間に向けて、
神楽が私を覆うように四つん這いになって体を支えている。神楽の大事な部分は、
私の胸のあたり、私からは毛布の暗がりの中に見える位置にある。
「あんた背が高いからこういうのやりづれーんだけどさ、その……。
私は、あんたのここ、いじるから、えーっと……。」
また顔を真っ赤にした神楽が振り向いて私の方を見た。
「あ、あんたも、いつでも私、い、いじって、いいぞ」
- 831 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:13 xaNXl4hZ
- そして、毛布を背負った神楽が、やさしく、私の股間を蹂躙した。上から下へ、
すーっと指を這わせられ、その指でそっと揉むようにされながら、下から上に
なぞられた。
「い……やぁっ。あ、あああ……」
神楽の指が上まで戻ってきて、さっき乱暴にいじられたときとは比べ物にならないぐらい、
やさしく突起をなぶられ、たまらず嬌声が出てしまう。
「いやなら、やり返せよ。私はてかげんしねーぞ」
言葉通り、てがけんなく今度はぺろぺろと舐められた。堪えなければいけない。
それはわかっている。けれど。
「そ、そうだっ榊! いいぞ……いい、いいよぉ。もっと触って……は、あっ」
堪えきれず、勝手に手が動き、神楽の大事なところをまさぐる。神楽の
してくれたように、上から下へ。そしてそっと指をほんの少しだけ差し込み、
ゆったりとこねまわす。神楽は私をいじめて高まっていたのか、もう十分に
湿っていた。そして、かわいい声を上げる。
「か、神楽、んんっ、そ……そんなに、しないでぇ……ああ」
股間の突起を、神楽に皮ごとぐにゅぐにゅと円を描くようにもてあそばれる。
こみあげる感覚に突き動かされ、私も、神楽に同じようにしてあげる。
「だ、だって、ふ、ふぁ……。こうすると、榊触ってくれ……る、うぁ……もっと……」
「そ、それは……あぅ……も、だめ……だよ」
- 832 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:14 xaNXl4hZ
- お互いが、同じようにお互いを責め合う。あっけなく達しそうになった私を、
神楽はいきなり振りほどいた。
「榊、こら、離せ……はぁ、はぁ……。ふん、結構、本気になってるじゃねえか……」
荒い息を吐き、惚けている私には、それは否定しようがなかった。神楽がベッドを
降りる。
「……別れたくないよぉ」
ベッドから離れた神楽が涙声で言った言葉で、私はやっと今日ここにやってきた
目的を思い出した。快楽に喜びながらも泣いている神楽の顔は、とてもかわいくて、
悲しくて、そしてとてもきれいだった。けれど、この顔をもう一度見てはいけない。
私は、今日は墜ちてしまうだろう。でも、もうこれきりだ。神楽を悲しませてはいけない。
本当に、神楽が笑顔になれるようにしなきゃいけない。そう決めたんだから。
「榊。ごめんな。パンツ、汚すぞ」
ベッドの引き出しをあさって、神楽が、これも私が渡したピンクローターを
取り出してきた。そして、それを私の股間に当てる。
「パンツはいてくれるか」
言われる通り、その上に下着を身に付ける。下着から出てきたコードの先は、
神楽の手に握られている。そしてスイッチを入れた。
「……っ」
「私が、もうよくなるまで、こうするからな」
神楽が私を組み敷き、私の下着の上から、神楽が神楽の股間を押し付けてきた。
そして、ずるずるとこすりあわせる。すぐにそこは二人の湿りでどろどろに溶け合う。
振動と摩擦が、下半身から背骨を突き抜けて、頭まで貫いた。
- 833 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:15 xaNXl4hZ
- 「ああっ……か、かぐらっ! こ、こんなの」
「すげ……さ、さかき、ふるえてるよ! もっと……もっと欲しい……」
すでに限界が近いところまで来ていた私は、あっけなく崩れる。
「だ、だめっ、んああっ……ぐら、かぐらっ!」
「イキたいなら、イケよっ。私が、よくなるまでって……くあっ、言った、だろが!」
「そんなっ……あ、あああ……んっ……ああっ!!」
絶頂の瞬間、私は神楽の胸を不器用にきゅうっとつかんでいた。
「さ、榊っ! そん、ああっ! そんなの、はんそく、ぅ……。こうだっ」
お返しとばかり、神楽が私の胸に吸い付いた。
「そ、それ……ああっ。あ……されたら、また……」
「あ、あんただって。しつこく……つぁっ! よこから、むねぇさわるな……ああっ」
神楽の動きが、速く、力強くなる。こすれあっているところから、ごりごりと
ピンクローターを押しつぶすような音がするような感覚をおぼえた。それぐらい強く、
二人とも一つになりたいと思っている。
「そ……おしつけられら……らめっ! また……ぃ……んんっ!!」
「って、わたしも、……かき、さかきほしいっ……ああっ、ああ! い、いっしょにっ!」
神楽の腰がうねり、私を貫く。力を込めてこすられる度にどんどん高みに
昇らされていく。私は、確かに神楽に犯されていた。そして、私も
それに応えて神楽を、溶けてしまった体で犯す。今、初めて本当に、自分の全てを
神楽の前にさらけだしている。
「いっしょだよ! いっしょだよ……うっ、ああ……!」
「さ、さかきぃ……あ……!!」
どくん、どくんという力強い鼓動とともに、神楽が私の中に、私が神楽の中に
入っていくような気がした。ふわっと体が軽くなり、私が神楽と同じになっていく。
そのまま、私の意識はゆっくりと途絶えていった。
- 834 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:17 xaNXl4hZ
- 私は、どれくらい気を失っていたのだろうか。目を開いた私に、神楽が優しく
微笑んだ。けれど、それは泣き笑いの、笑顔だった。
「よかった……。ずっと目を覚まさないからさ、心配しちゃったよ」
文字通り汗と液とでどろどろだった私の体は、きれいに拭かれていた。
私の寝ているベッドも、軽く整えられている。一瞬、あの出来事は全て夢だったのかと
思った。けれど違う。体に残るうずきと、神楽の笑顔があれは現実だったと
証明している。
神楽が、すっと私に向けて手を差し出した。
「榊。もう一度、お願いだ。考え直してくれ。私の恋人をやめないでくれよ……」
けれども、私の答えは決まっていた。
首を振る。辛いけれど、首を振る。
神楽は、はぁ、とため息をつき、肩を落としてベッドに座った。
「分かってたんだよ。考え直すなんてないってこと。でもな、ひょっとしたらって……」
「ごめんなさい……」
謝る私の手を取って、神楽が私をぐっと引き起こしてくれた。
「けどな、手をつなぐぐらいいいじゃねーか。いつかいやらしくないって言ったのは
あんただぞ」
ベッドに並んで座りながら、神楽の目を見た。神楽の目は真っ赤で、まだ涙が
いっぱいにたまっている。けれど、神楽は笑顔でいてくれる。それがうれしくて、
ありがたくて、くやしくて、辛い。
- 835 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:19 xaNXl4hZ
- 「ごめんなさい……私が……私が全部」
「待てよ」
両肩をがしっとつかまれた。気圧されて、私は口をつぐんだ。
「……別れてやるよ。ただし、条件がある」
「ほ、本当か? ……言ってくれ」
「さっきみたいに、榊が全部悪いみたいに言わないこと」
「で、でも……」
「でもじゃねーよ」
神楽が、涙をぐっと拭った。そして、私にゆっくりと言って聞かせる。
「私だって、悪いのは同じだ。それにな、それに……。あんな言い方したら、
榊とやってきたことが、何もかも悪いことだったみてーじゃねーか」
「…………」
「嫌だよ、そんなの……。楽しかったんだぞ……本当に」
「神楽……」
「それとだ。これからも、ライバルでいてくれ」
「……え?」
「ライバルでいてくれ。ライバルだからな。別れたからって、変に手抜いたら
承知しねーぞ。ライバルなんだからな。けどさ、けどさ、別れちゃって……それっきり、
口もきかずに、知らんぷりなんて……。嫌だよ。絶対。絶対、絶対、嫌だよ!」
「でも、私……」
- 836 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:20 xaNXl4hZ
- 「榊! もうどっちがが悪いとかそんな話はやめてくれ!」
神楽が、絞り出すように叫んだ。
「未練がねーわけじゃねーし、すっげー悔しいよ。けど、あんたの言ってることは
確かにそうだって思う。だからあんたの望んだ通り別れるんだ。けどな!」
神楽がベッドに手をつき、頭を下げる。
「私は、ライバルでいたいんだよ! わかるだろ!? あんたのこと尊敬してる!
だから、頼む!」
「…………」
そうだ。私も、過去の自分にこだわっていてばかりいちゃいけないんだ。
私も未練を捨てて、これからのことだけを見ていこう。私が言い出したことなんだから。
「頼むよ……」
「顔を上げてくれ……」
神楽をそっと起こし、見つめあった。どちらからともなく、あれだけもう流したはずの
涙をまたぼろぼろと流し始めた。
「神楽……私も、神楽が納得するライバルでいたい。だから……がんばる。
きみを……裏切らないように……」
泣きながら、そう誓った。神楽も、声を上げて泣いた。二人で、泣いた。
- 837 名前:ふたりのみち 投稿日:04/04/12 01:21 xaNXl4hZ
- 「改めて言う……。おめでとう」
「ああ、ありがとな」
二月。神楽は、一足早く志望校に合格した。私たちは、ちよちゃんの家を後にして、
帰る道すがらに久々に二人っきりで話している。
「榊も受かったんだろ」
「まだ本命が残ってる」
「榊なら、きっと大丈夫だよ」
そう言って神楽は笑った。
「そうかもしれない。けれど、最後まで、全力は尽くす」
「……そうだな。それでこそ私のライバルだよ」
交差点に差し掛かった。ここから、神楽の家と、私の家とで行き先が分かれる。
「じゃあ、また」
「あ、ちょっと待て榊」
神楽が、ごそごそとかばんをいじっている。
「本当は、もっとまともなのあげるとこだったけどな」
私に向かって何か小さいものを放り投げた。私はそれを受け取る。
「けど、もう恋人じゃねー、ライバルなんだからな。だからそれだけだ。
ちょっと早いけどな」
私の手の中には、一口サイズのチョコレートがあった。
「榊ならやれる。私のライバルなんだからな。じゃあな!」
それだけ言って走り去る神楽を、黙って見送った。神楽が見えなくなってから、
チョコレートを口の中に入れた。今までに食べたチョコレートの中で、
一番、甘くて、苦い味がした。
(おわり)