260 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:25 7QtbadIQ
随分前のことになる。俺が智に告白したのは。
俺の勇気の全てを以って想いを告げたあの日、智はそれを受け入れてくれた。
嬉しかった。智が俺と同じ想いでいてくれたことが。
後でよみから聞いた話だが、智はよみにいろいろ恋の相談をしていたらしい。
智はよく高校生とは思えない振る舞いをし、周りに迷惑をかけるほど暴走するが、
その理由の半分は天然だが、もう半分は俺に見てもらうためだったという。
嬉しいじゃないか。俺は元気のあり余ってる明るい智を好きになったんだ。それが俺のためだって言うんだから。
智とつきあうようになってからわかったのだが、智は結構ウブだった。俺も同様で、最初は手を繋ぐことさえままなら
なかった。そんな俺達の間をよみが取り持ってくれた。わざわざ二人のデートの計画を練ってくれたこともあったな。
最初は『滝野さん』としか呼べなかったけど、今彼女のことを『智』と普通に呼べるのはよみのおかげに違いない。

智との仲が深まるにつれ、よみも俺にとっていい友達となっていった。
そうしているとわかってくるものだ。この二人がどんなに深い仲なのかが。
互いのことを解りあっている。嘘も、無言さえも、想いを伝える言葉になる。
智に俺という存在ができてしまっても、二人の間には誰も立ち入れないような「領域」を感じた。
……そして、それが羨ましかった。この二人のような間柄が存在することが。そして俺は智とそうなりたい。
この二人の漫才のような会話によくつきあうようになったり、
水原のことを『よみ』と呼ぶようになったのはそんな想いの表れだろう。
俺も、智もよみも大学は別になり、毎日会えるわけではなくなってしまったが、それでも関係は続いた。
俺と智は互いのことを好き。そしてよみは大事な親友。その関係は変わらない――はずだったのに……


261 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:25 7QtbadIQ
「バカァ! よみのバカー! なんで死んじゃったんだよ~!!」
葬儀の会場に智の声が響いた。その声には当然ながら涙が混じっていた。
智はなりふりかまわず涙を流し続けていた。その量はご両親のそれよりもはるかに上だっただろう。
だが、智が泣いていないなら、俺がああしたかもしれない……
俺はそんな智をただ見ているしかなかった。

大学進学から数ヶ月、死因は癌だった。
実はかなり前からかかっていたらしい。すでに末期で手をつけられない状態だった。
本人はわかっていたらしい。自分が長くないことが。
俺と智によくしてくれたのは、自分の死期を悟っていたからなのだろうか。
俺に向けた最期の言葉は、「とものこと、よろしく頼む」だった。よみは最期まで智のことを気にかけていたんだ。
人にそんな想いを抱けることに、そういう人を失うことに涙が溢れてきた。
智が「いかないでくれよ、もう迷惑かけないからさ……」って弱々しい声で言ったら、
よみは「バカ、迷惑かけてくるからともなんだよ」って答えた。
死ぬなって何度も叫んだ。信じてもいない神様にお祈りした。智と一緒によみの手を強く握った。
でも奇跡は起きなかった。そういう結果を半ば覚悟していても、涙が止まらなかった。

……よみの最期の言葉は「とも、幸せにな」だったと思う。小さい声でよく聞こえなかったけど。


262 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:26 7QtbadIQ
その葬儀のあった日の夜、一人暮らしをしている俺の部屋に智がおしかけてきた。
「ねえ、私を抱いて……」
智は俺の胸に身体を預け、涙ながらにそう言った。
わざわざベッドのある部屋まで上がりこんできて、抱いてというのだから、その意味はわかる。
シャワーを浴びたばかりなのか、髪も湿り気があった。
悲しみをきっかけに、衝動的に相手を求めてしまうというのはドラマなんかでよく見かけることだ。
ならば、俺はそれに応えてあげるべきなのだろう。でも……
「ゴメン、智。それはできない」
キョトンとした顔の智を見つめたまま、俺は続ける。
「俺だってそんなふうに求めてくれるのは嬉しい。でも、それは俺にとっても智にとっても、初めてになるんだ。
 それは記念であって欲しい。初めての経験を悲しみの思い出にしたくないんだ」
こういうのを『女の子に恥をかかせる』っていうのはわかってる。でも、俺は自分の心に殉じたい。
「俺が今してやれるのはこうして抱きしめてやることだけだけど……
 好きなだけ泣けばいい。俺が全部受けとめてやるから……」
智は俺の胸の中で泣き続けた。いつのまにか泣き疲れて眠っていた。
俺は智をベッドに寝かせ、そっと唇を重ねた。それは悲しみの味がした。

正直な話、断ったことを後悔してもいる。俺だって男なんだから、そういうことへの願望はあるし、
こんなチャンスを逃すのは男じゃないだろう。『添え膳食わぬは男の恥』って言葉もあるし。
でも、初めてが悲しみの記憶になってしまうなら、きっともっと後悔する。
俺は智を愛する人として抱きたいんだ。


263 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:26 7QtbadIQ
それから数ヶ月、智は徐々に笑顔を取り戻していった。いつもの明るい智に戻っていった。
よかった。俺はそんな智が好きなんだから。
自惚れではなく、俺は智のそんな力になってやれたと思う。それが嬉しかった。

そんな生活の中で俺は智を愛しいと思うと同時に、そのカラダを欲しくなかったわけじゃない。
でも、断られたらって思うと行動に移せなかった。一度俺の方から拒絶してしまったことが尾を引いていた。
だから、智の誕生日に、智の部屋に泊まるという提案を、俺は快く受け入れた。
2人のパーティーは楽しく、しかし寂しかった。去年まで当たり前に祝ってくれたあの人が今はいない……。
無意味に酒が好きな智だが、今日は飲まなかった。酔いつぶれるわけにはいかないと考えているようで……
期待が膨らんできた。

俺は先にシャワーを浴びることにした。下衆な期待だと思いつつも、俺のオトコはいきり立っている。
俺も智も19歳でまだ未成年だが、咎められるような年齢でもない。
だが、心配なことは心配だ。女の子の初体験は痛みを伴うらしいことを当然知っている。
統計的な知識がないからわからないが、俺は早かったりとかしないのだろうか?
そういうことになったとき、俺は智を満足させられるのだろうか?
直接に女性器を見た経験はないが、うまくやれるのだろうか? 全てに自信がなかった。
不安ばかりが募る。それはシャワーをいくら浴びても流れ去ってくれない。
思えば大分長い時間、こうしているような気がする。
そして、不意に浴室のドアが開いた。そこには智がいた。一糸纏わぬ姿で。

264 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:27 7QtbadIQ
――思わず智の裸体を眺めてしまう。頭のてっぺんから足の先まで。
こうして見ると、智はスタイルがいい。体に無駄な脂肪はなく、すらりと伸びた肢体も美しい。
肌もきれいで……胸は……智はコンプレックスを感じているようだが、これは人の好みだ。
大きさは普通程度だろうが、むしろ俺はこんな感じの掌で包めるような控えめな胸が好きだった。
全体として幼さを残し、それでもしっかり大人のカラダだった。
そして、智の表情はえらく切実だった。何かを決意したような……。
智は何も言わずに歩み寄ってきて、俺に抱きついてきた。
全身に直接智の肌と体温を感じ、それだけで恍惚の境地に達してしまいそうなほどの衝撃が走った。
智の両腕は俺の背中に回されている。俺たちはぴったりとくっついていて、
身長差のために俺のモノは智の下腹部あたりに押し付けられていた。
「と、智!?」
俺の声はうわずっていた。なんとも情けないことだが。
「あんたが遅いから……」

智は俺を見上げ、甘えるような視線を俺に向けて言う。
「私と……して」
ずっと待ち望んでいたはずの言葉。でもまだ心の準備が……
「ちょっと待て、まだ……」
そう言って智の身体をひき離そうとしたときにようやく気付いた。智の体が震えていることに。
……そうだよな、女の子にとって怖くないはずがない。それでも、智は俺との距離を縮めたくて、
俺との想いを確かめたくて、気持ちを共有する人が欲しくて、こうして求めてくれるんだ。
……それをかつての俺は拒絶してしまった。怖がっていたのは俺の方だったんだな。ゴメン、智。
「まあ、ここじゃなんだからさ、ベッドに行こうよ」
「うん……優しく、してね」
智はわずかに瞳を潤ませていう。俺は不安にさせたくなくて、優しく頷いた。
俺は智をベッドへエスコートした。その足取りに不安はない。
今なら自信をもって言える。――俺は智を愛している。


265 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:28 7QtbadIQ
そして……その……智の中は気持ちよかった。うん、それは間違いない。
だが、智が俺と同じように感じてくれたかというと……これは甚だ疑問だった。
智の表情は始終苦痛に歪んでいたし、俺はそれをどうすることもできなかった。
シーツを赤く染めたことが純潔であることと一つになれたことの証だとわかっても、
俺はひどいことをしてしまったんじゃないかという思いが残った。

「なーに言ってんの、この智ちゃんに恥をかかせておきながら」
智にそれを話したらこんな答えが返って来た。まあ、その通りなんだけどさ……。
まともに慰めてくれないのが智らしいかな。
初体験がうまくいったとは思えない。でも、そこで関係が終わってしまうわけじゃないんだから、
またこれからがんばればいい。俺たちはそういう関係だし、智はそれを俺に許してくれている。


266 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:28 7QtbadIQ
その初体験からも回数を重ね、段々とそっちの生活の方も充実したものになってきた。
それはともかくとして、今日は智が夕食を作ってやるからうちに来いと言った。
いやらしいことだが、智がうちに来いというのだから、期待も膨らむ。まあ、今まで例外はなかったのだが。
と言っても、智とはエッチだけの関係ではない。互いのことをよくわかっている友達だし、
これから先もずっと一緒にいたいと思っている最愛の人だ。
そんなわけで、智が作った料理はちゃんと食べてやらなきゃいけない。例えどんな味でも。
……そう、智の料理は……いや、女の子が料理を作ってくれるのだから、男としては嬉しい。
だから、俺はそれにちゃんと応えてあげなければならない。そのために腹を空かしてやってきた。
俺が部屋のドアを開けると、カレーの香りが漂ってきた。
「いいよー 上がってきてー」
ドアを開ける音で俺が来たことがわかったのか、智が声だけで応えてきた。
調理中ならキッチンの方にいるのだろう。そう思って行ってみると……
「と、智! なんて格好してるんだ!?」
智の衣装は一言でいえば……いや、他に言い方はないが……裸エプロンだった。
「見ればわかるじゃん」
いや、そういうことじゃなくてね。
「ほら、私がこんな格好してるんだからあんたもやることがあるでしょ」
智の顔は赤い。いくらノリ重視の性格の智でも恥ずかしいことは恥ずかしいのだろう。
「……俺、食欲と性欲は一緒にできない性質なんだよ。だからさ、」
俺は智にキスをした。今は唇を重ねるだけ。その感触に心を奪われそうになるが、なんとか理性を保って続ける。
「あとで、じっくりな」
「うん、それじゃ待ってて」
俺は頷いてキッチンを後にした。


267 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:29 7QtbadIQ
カレーが皿に盛り付けられ、美味しそうな香りが部屋に漂う。いくら智でもカレーをそんなに不味くは作れないだろう。
「いただきまーす」
二人で声を合わせ、スプーンを手にとった。もちろん、智は普通の服に着替えている。
智はかわいい笑顔でこっちを見つめ、俺が食べ始めるのを待っている。……なんか、こういうのって幸せだな。
俺はスプーン一杯分のご飯とカレーを口に入れる。そして……
「!!」
な、なんだこれは! 激辛じゃないか! 水を飲もうとしたが、考えてみたら水は用意していなかった。
あわててキッチンまで走って、水を飲む。水を用意しなかったことも計算のうちだったのか。
「とーもー」
智の料理は何かの調味料の味が効き過ぎていることが多い。だが、カレーを作って辛すぎにするには
故意に何かを加えなければならないだろう。ルーは普通のものだろうから。
「なんだよ、これは」
部屋に戻って抗議。さすがに声を荒らげる。
「鷹の爪」
智は悪びれもせずに言った。なんでこんな……、俺が言おうとしたことを察知したのか智は続けた。
「だって、あんた、また断ったじゃん」
表情からして智は拗ねているのだろうか。そうか、また俺は女の子に恥をかかせたんだな。
「ゴメン……でも、そういうことには好みってものがあるから」
「うん、それはもういいの。だから残さず食べてね、ア・ナ・タ?」
智は魅力的な笑みを浮かべて言った。だが、俺には天使ではなく、小悪魔のそれに見えた。
カレーは食べた。泣きそうになりながら食べた。智も一緒に食べた。
……食べながら俺は智のいたずらに思いを馳せた。多分俺があそこで断ったから報復のために鷹の爪を加えたのだろう。
決して、出来上がりが不味くなってしまったので、それを誤魔化すためにやったわけではない……と思う。


268 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:29 7QtbadIQ
食事が終わってから何時間かくつろぎ、床に座りながら二人でテレビをみていると、
座った姿勢のまま智が俺に抱きついてきた。
「ねえ、もうそろそろ……いいでしょ」
いつも智の方からしおらしい態度で求めてきて、俺が応じるという形になっている。
智の顔はすでに真っ赤だ。多分俺も。
智は瞳を潤ませて甘えるように俺を求めてくる。それもいつものことだった。
そして俺はまず、キスでそれに応じる。それもいつものことだった。
智と口内に舌を這わせ、智の舌と絡ませる。あれから口は何度もゆすいだが、
カレーの刺激的な味が少しだけ蘇る。それはいつものことではなかった。
それとは全く違う刺激、俺と智を快楽へと押しやるための第一歩となる刺激も同時にやってきた。


269 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:30 7QtbadIQ
一旦キスをやめ、智をベッドへと導く。そこで二人とも服を脱いだ。そのための数十秒すらもどかしい。
智は俺を待ちわびてベッドに横たわった。俺は全裸の智を少し眺めると、それに覆い被さって、再び唇を重ねた。
智を全身に感じながらのキスは射精感とはまた違った恍惚を俺に与える。
唇を離すと、唾液が少しの時間だけ俺と智を繋いだ。
俺は智の上からどき、彼女の横に一緒に横たわると、指と掌で、智の身体のラインをなぞった。
肩、胸、わき腹、下腹部、ふともも、そして内股。俺がなぞった曲線はどれも女性の美を意識させ、気分が高揚した。
智は息をわずかに荒くしてその様子を見守っていた。そろそろ始めよう。
俺は手で智の胸を優しく包んだ。次第にその力を強くして、揉みしだいていく。
今度は身体をずらし、乳首を口に含み、舌で刺激する。眼前に胸があることで、その小ぶりな乳房の美しさを実感する。
「ひゃっ!」
智がかわいい声をあげた。何度やっても弱いんだな。
智の乳首を吸ってみる。もちろん母乳が出るわけではないが、なぜか『母の香り』をかいだ気がした。
「智……いい香りだよ」
「ば、ばかぁ」
俺も言葉に、智は上ずった声で応える。暴走の代名詞である智のものとは思えない、弱々しい声だった。
口と同時に、手でもう片方の乳房を刺激することも忘れない。
「……はあっ、……はあっ、」
智の息が荒くなってくる。それを見た俺は、智の割れ目に指をあてがった。


270 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:31 7QtbadIQ
「あ…………ん…………」
智は俺が与えた刺激に、恥ずかしそうに身をよじらせる。
しかし、この体勢から逃れられるわけではない。俺は割れ目にちょっとだけ、指を入れた。
そこには充分な湿り気が感じられた。少しづつ深く指を挿入してゆくと、智の反応がさらに大きいものになった。
俺は智の中で慎重に指を出し入れした。それと同時に今までやめていた口による乳首への刺激を再開する。
「ああっ、ああ、あぁん…」
次第に指の速度を上げていく。
「あっ、あっ、んーーーーーーっ!」
指への締め付けが強くなった。軽くイッたらしい。
俺は少し智を安静にした。
「ばかっ……やりすぎ」
智は目を逸らし、瞳を潤ませて言う。普段のような強気で、
それでいて普段からは想像できないしおらしい態度に、俺は痺れるほどの愛しさを覚えた。


271 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:31 7QtbadIQ
「……入れるよ」
「……うん」
俺は智の脚の間に入り、自分のオトコを智のオンナに当てがって、少しづつ進入した。
「んんっ……」
挿入された俺は、智に包まれる。充分濡れている中は、俺を迎え入れた。
そこは温かく、柔らかく、優しかった。いつまでいても飽きない、何度でも来たくなる場所。
今もここにいる。それが俺と智が愛し合っていることの証。
俺はぐいっと根本まで挿入した。全体が熱い場所に包まれる。
もう智以外のことは考えられない。俺は智に快感を与えながらも、心は智に支配されていた。
そこから俺はゆっくりと、そして、段々と速度を上げて、出し入れを繰り返した。
「あっ、あっ、あぁっ……ああん、ああんっ」
前後運動の突き方を微妙に変える度に、智は顔を振り乱し喘ぎ、その反応も微妙に変わってゆく。
それは智が俺に追従してくれるようで、とても嬉しかった。


272 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:32 7QtbadIQ
繰り返していくうちに、俺も智も性感が高まってゆく。
そして、繋がっている部分だけでは飽き足らず、全身で智を欲しがっていた。
繋がった体勢のまま倒れこんで、俺は智に覆い被さる。全身に智という女の身体の柔らかさと体温を感じる。
荒い呼吸と喘ぎ声を繰り返す智の口を、俺の唇で塞いだ。
「ん、んん、んふうん」
智は苦しそうに鼻で息をした。息が乱れて苦しいのは俺も同じだったが。
それでも口内で舌を絡め、互いを味わう。口が塞がれているために鼻で呼吸することになり、
智の香りが俺の鼻腔を刺激した。今感じている興奮とは対照的な、安らぎを感じさせる匂いだった。
その間も腰の前後運動は忘れない。身体を密着させているため、ピストン運動は自然と小刻みなものになった。

「智……好きだよ」
一度唇を離してからそう告げて、返事を待たずにまた唇を塞いだ。智はどんな反応をしただろうか。
キスをしながら間近に見る智の目はとろんとしていて、それが自分が与えた快感のためだと思うと、
俺自身も悦びを感じた。
両腕を智の身体の下に潜り込ませて、智を力強く抱きしめる。智の腕も俺と同様だった。
智の味、智の匂い、智の声、智の表情、智の感触と温もり。
その全てが俺をこれまでにない最高の頂点へと押しやっていく。
強烈に下半身からこみあげてくる。限界はもうすぐそこだった。
俺は身をのけぞらせ、それでも智をがっちりと離さなかった。
「智、智!」
俺は智の名前を呼んだ。そうすると、智も俺の名前を呼んできた。
「あっ、あっ、ああっ、あああああっ!!!!」
智が上り詰めるのと同時に俺も限界を迎え、智の中に解き放った。


273 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:33 7QtbadIQ
全身の力が抜けるような快感が俺を襲う。
俺たちはしばらく繋がったまま、行為の余韻に浸っていた。離れてしまうのがもったいなかった。

行為の後始末をしたあと、汗だくになったのでシャワーを浴びて、二人で一緒に寝た。
シングルベッドに二人寝るというのは狭かったが、それが嬉しかった。
智は眠ってしまっている。子供のようにかわいらしい寝顔だった。
もう大人のはずなのに、あどけなさを残していて……とてもいとおしい。
俺は智の小さな体を抱きしめながら、先ほどの食事――カレーのことを思い出し、ちょっと切なくなった。
激辛が好きな俺たちの親友のことを思い出したからだ。
『とも、幸せにな』。それがよみの最期の言葉だった。
再び智の寝顔を見る。俺は幸せだ。そして、きっと智も。
俺も智には幸せになってほしい。
……よみ、安心しろ。よみの想いは俺の中に生きている。きっと俺が叶えてみせる。
天国なんてあるかどうか知らないけれど、そこにいるなら俺たちのことを見守っていてくれ。


274 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:33 7QtbadIQ
それから1ヵ月後のある日、デートをしようと街で待ち合わせていると、
遅れてやってきた智が深刻な顔をして言ってきた。
「ねえ、私、来ないの」
「来ないって……何が?」
「あの日」
………………え!?
「え、マジ!? でも、安全日だっていってたじゃないか! ちゃんと計算してなかったのか!?
 いや、もちろん俺にも責任はある。何も考えてないわけじゃないぞ。そうだ、ご両親に挨拶しなきゃ!
 いきなりで許してもらえるかな。いや、何が何でも納得させてみせる!俺と智のことを認めさせるよ。
 まだ学生で経済状況も辛いけど、俺がんばるからさ……」
俺はまくしたてるが、智はうつむいて肩を震わせている。
「くくく……」
……え?
「あーーっはっはっはっ! 引っかかった? 引っかかってやんの! あんたもう最高―!」
呆れるこっちを尻目に、智は大爆笑だ。
「と~も~」
いくら智が相手でも怒るときは怒る。
「キャー! 助けてー!」
智は明らかに俺を馬鹿にした声をあげ、走って逃げ出した。


275 名前:智と友 投稿日:03/08/29 21:34 7QtbadIQ
「こらー! 待てー!」
俺も走って智を追いかける。
「キャー! 助けてー 襲われるー!」
「こら! 天下の往来で何いってんだ!」
俺と智は、街中で追いかけっこを始めた。まったく、冗談にも程がある。
……でもな、智。さっきの俺の言葉は嘘じゃないからな。ちゃんと結婚に相応しい身分になってからの方が
いいだろうけど、結局は早いか遅いかの違いだ。俺は智とずっと一緒にいたい。おまえもそうだよな。
「ちょっと、なんでにやついてるの!?」
智が俺を振り返って言った。
「捕まってくれたら教えてやるよ」
「やだよーだ!」
と言っても、俺も智も全力疾走ではない。その気になれば簡単に追いつく。

……よみもこんな智に苦労させられたんだろうな。

智に追いついたら、どうしようか。「♪つっかまえた」なんておどけて言ってみようか。
いきなり抱きしめてキスする、なんてのもいいかもしれない。うん、それにしよう。智は驚くだろうな。
楽しい気分になってきた。俺は智に追いつくために速度を上げようと、力強く地面を踏みしめた。

(おしまい)


276 名前:あとがき 投稿日:03/08/29 21:36 7QtbadIQ
企画段階では、智ちゃんと主人公にこんなやりとりを
させようと思っていました。


「ねえ、私、子供ができちゃった」

「な……安全日だって言ってただろ」

「あれうそ」

「そんな あっさり」


不採用の理由はいわずもがな。


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