173 名前: 152 投稿日: 02/07/27 08:37 ID:KnT9kXCL
「神楽ちゃんて、好きな人おるん?」
授業の合間の休み時間、となりの席の彼女に問いかけた。
「な、なんだよいきなり」
私の方を向く彼女。案の定、顔が赤くなっていた。
「おるんか?」
もう一度、問いかける。
彼女はあさっての方を見ながら、別に、とつぶやいた。
「そーいう大阪は、どうなんだよ」
「私? 私はおるよ」
「‥‥誰?」
少しムッとした様子で聞き返す彼女。
もしかしたら、と期待してしまうのは、少々都合が良すぎるだろうか。
「聞いたらびっくりするでー」
そりゃあ‥‥今目の前にいるのがそうだ、と言われれば、誰だって驚くだろう。
「誰なんだよ」
‥‥そんなこと言えるはずがないのだが。
「‥‥へへー、秘密や」



174 名前: 152 投稿日: 02/07/27 08:38 ID:KnT9kXCL
「?」
彼女は不思議そうに私の顔をのぞきこんだ。
‥‥かわええなあ。
「え?」
「へ?」
‥‥どうやら、声に出してしまったらしい。
こうなったら開き直るしかない。
「神楽ちゃん、かわええなあ」
「‥‥話に脈絡がないぞ」
と言いつつ、顔が真っ赤だ。やっぱりかわいい。
「それに‥‥‥私なんかより、大阪の方が‥‥」
うつむきながら‥‥彼女はそう、つぶやいた。
「‥‥今、なんてゆうた?」
「な、なんでもねえよ! ほら、授業始まるぞ!」
あわてて教科書を用意する彼女。明らかに動揺している。

「‥‥ちょっとは、期待してもええんかな?」
「何が?」



328 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/08/07 11:33 ID:YKvDICj0
‥‥まだ六時半か‥‥
広場の端にあるベンチのそばで、神楽は一人でうろついていた。
今日は夏祭りに来ていた。メンバーは智、ちよ、大阪、暦、神楽、榊と、まあいつもの顔ぶれだ。
七時にいったん集合することにして、それぞれバラバラに行動した。
集合場所にはまだ誰も来ていない。ひとまずベンチに座り、買ってきたジュースを飲む。
店はどれも真ん中によっているので、こっちにはほとんど人気がない。
ふと、こちらに向かってくる一人の少女が見えた。
「‥‥大阪?」
それは確かに大阪だった。とてとてと歩いてくる。
「おー神楽ちゃん、早いなあ」
「お金使い過ぎちゃって、もう何も買えねーし。
 大阪こそ、どうしたんだ?」
「私、人ごみの中って苦手やねん。人よけながら歩いてたら、疲れてもうた」
言いながら、神楽のとなりに座る大阪。
「神楽ちゃん、わたあめ買った?」
「わたあめ?買ってないよ」
「あれっておいしいんやけど、手や口がベタベタになるやん。そんで私、いっつも後悔して、
 来年は買わん!って思うんやけど、結局毎年買ってまうねん。今年も手がベタベタや」
「はは‥‥あ、そうだ」
バッグの中から何か取り出す神楽。


329 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/08/07 11:34 ID:YKvDICj0
「これ、くじで当てたんだけど、いる?」
差し出した手には、ピンクのヘアピンが乗っている。
「くれるんか?ありがとー」
受け取ると、大阪はさっそく髪につけてみた。
「へへへ、似合う?」
「うん、かわいいよ」
かわいいと言われ、なんだか幸せな気分になる大阪。
そして、二人っきりということに改めて気付く。
‥‥言おうかな‥‥
「‥‥あんなー、私この前、好きな人おるって言うたやん」
「ん?‥‥うん」
「あれな‥‥その‥‥」
顔が赤くなるのが自分でもわかる。
この先を言っても良いものか少し迷ったが、大阪は決心し、口を開く。
「神楽ちゃん、やねん」
「え?」
驚く神楽。
ほんのわずかの間。それが大阪にはとても長く感じられた。


330 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/08/07 11:36 ID:YKvDICj0
「‥‥変やな。ふつうなら、男の子好きにならな、あかんのに」
顔をうつむかせる大阪。
「でも‥‥私は、神楽ちゃんのこと好きになってもうた。
‥‥ごめんな、いきなりこんな事言うて。気味悪いな‥‥」
「そ、そんなことねえよ!」
神楽の声に、大阪は顔をあげる。
「別にいいじゃねえか、相手が男でも女でも!本当に好きなら性別なんて関係ねえよ!」
「神楽ちゃん‥‥」
「‥‥あと‥‥えっと、だな」
頬をかきながら、神楽は続ける。
「‥‥私も、大阪の事、好きだ」
「え‥‥そうなん?」
「う、うん」
照れて顔をそらす神楽。
「‥‥なんや、なら‥‥ちっとも心配することなかったんや」
「‥‥そうだな」
「‥‥はは」
そう思うと、なんだか笑いさえ込み上げてくる。
「あ、じゃあ、私らはコイビト同士ゆーことになるんやな」
「お、おう」
「ふつつか者ですが、よろしくお願いしますー」
ぺこりとおじぎする大阪。
「え、いえ、こちらこそ‥‥」
返す神楽。
「‥‥ふつつか者ってどんなん?」
「さあ‥‥」
ま、ええか、と言って、大阪は座ってる位置を神楽の方につめた。


331 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/08/07 11:38 ID:YKvDICj0
「‥‥あんな、私な、してみたいことがあんねん」
神楽の顔をじっと見る。
「何?」
「ちゅう、してみたい」
「ちゅ、ちゅう!?」
.突然言われて、また驚く神楽。
「ダメなん?」
「い、いや、ダメっつーか‥‥は、早すぎないか!?」
「そうかなあ」
「‥‥う‥‥」
大阪の大きい瞳に見つめられ、少しクラクラしてくる。
「‥‥‥じゃあ、す、少しな」
「ん‥‥」
見つめあう二人。顔が少しづつ近付いていく。
どちらともなく目を閉じ‥‥
「おーい!大阪、神楽ーー!」
智だ。
慌てて離れる二人。暦もちよも榊も、皆こちらにやってくる。
もう七時になっていた。
「ななななんにもしてねえぞ!?」
「な、何がですか?」
「どうした?」
どうやら見られてはいないようだ。心臓がバクバクいっている。
ほっとしたものの、少し残念でもあった。




332 名前: 名無しさん@ピンキー 投稿日: 02/08/07 11:40 ID:YKvDICj0
「じゃあちよちゃんもいることだし、そろそろ帰るか」
「そうだな」
「楽しかったですね。私、わたあめいっぱい食べちゃいました」
「チャレンジャーやな、ちよちゃん‥‥」
「それではみなさん、家に着くまでがお祭りです!うかれながら帰るように!」
「うかれちゃダメだろ」
「んじゃ、バイバーイ!」
皆それぞれの家路へとつく。
「あ、神楽ちゃーん、ちょっと」
「ん?」
「こっちこっち」
大阪は、ちょっとした物陰に神楽を呼んだ。
「なん‥‥」
甘い香りがする。
なかば強引にキスをした。
キスといっても、触れる程度のかわいらしいものだが。
「へへ」
顔を離すと、大阪はまたな、と言って戻って行った。
しばし呆然と突っ立ている神楽。榊に声をかけられ、やっと我にかえった。
顔が真っ赤になっているはずだが、辺りが薄暗いのと焼けた肌のおかげで、よくわからない。
‥‥今日、ちゃんと寝れるかな‥‥
夜道を歩きながら、神楽はぼんやりとそう思った。




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