490 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 09:59 ID:a9CDkN7k
「オトナ編 ~黒沢みなもさんの場合~」

……こいつが私の事を、あだ名の『にゃも』で呼んでくれるようになってから、まだ
そんなに日数が経ってないような気がする。彼女はそんな事をぼんやりと考えていた。
黒沢みなもこと、にゃもは男を組み敷いていた。引き絞られた肢体の一部分は黒く日に
灼け、真っ白い背中と茶褐色の四肢との間で、なだらかなコントラストを描いている。
ほぼフラットに倒された助手席の上で、彼は躾られた通りに身じろぎひとつせずに
にゃもが自分の身体を飽きるまで貪り続ける事を許していた。
真っ暗な車内、フラットになった助手席の上で、水音と吐息と、微かな衣擦れの音が
時に高く、時に低く繰り返すシンセのビートに被さる。
ペニスから汗の味が消えるまで丹念に舌をまぶしたにゃもは、青臭い透明な粘液が先端部で
珠を作りはじめているのに満足すると、わざとらしく熱い吐息を拭きかけながら、焦らす
ようにゆっくりとそこに口付けた。


491 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:01 ID:a9CDkN7k
「―――教師が聖職なんてウソを、最初についた偽善者は誰かしらね」
十数分前、愛車のヴィッツを人通りのない脇道に止めたみなもはそう云うと、お互いが
携帯電話のスイッチを切ったのを確かめ、青いタンクトップのタップを引きちぎるように
外し、ブラのストラップを脱がしやすいように下ろした。彼は締めていたネクタイを緩め、
タイピンを胸ポケットに挟み込むと、カーナビを切る。にゃももコンパネに手を伸ばし、
それまで気怠いJ-POPを流しつづけていたカーステレオを、CDチェンジャーに一枚だけ
入っている輸入盤のジャーマントランスに切り替えた。
コンパネの上で、二人の手がせわしなく動き回る。早く、早くと。
飾った言葉は醒めるだけ。演技も口実も執着も、繋がろうとすれば邪魔になる。
普段穿かないスカートも、素足にサンダルも、部屋着同然のラフなスタイルも、全ては
今のためだけに。下手に飾ってウソをつき、嘘の上塗りで恋愛ごっこを楽しむ程
子供じゃぁない。ハンドルに足を掛けて、ライトブルーのシンプルなショーツを
抜き取ると、くるりと回して足首に巻きつける。狭い車内で腰を屈め、既に倒された
助手席でにゃもを眺めている男に寄り沿ろうと、シフトレバーをまたいだ時、一瞬だけ
自分達がこれからしようとしている事を露骨に見せ付けられたような気になって、
にゃもの頬を朱に染めた。


492 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:01 ID:a9CDkN7k
パワーを2段階ほど上げられたエアコンの音が、ゴォォ…と真っ暗な車内に響く。
冷風に剥き出しの背中を撫でられたにゃもの躯が、ぴくり、と敏感に震える。
「…んっ」
既に昂ぶっていた二人が互いに貪り合うには、そんな僅かな変化でも号砲に等しかった。
シートに立てた片膝と、ヘッドレストに添えた左腕だけで体重を支えながら、わざと
らしく水音を立てながら、にゃもは泡立った唾液を啜る。あれほど言っているのに、
まだ煙草を止めきれないらしい。いっそ自分も同じ銘柄を吸うようになれば、詮索深い
旧友の詮索を避わす事ができるかもしれないと思ったが、仕事のことを考えてその考えを
打ち消した。自由になっている右手でYシャツのボタンを外してゆく。3つ外したところで
ようやく彼はブラのホックに手を伸ばしてくれた。こいつも私も、お互い慣れてきたのかな、
と思う。押さえ付けられていた乳房がふるん、と重力に従って落ち、ブラの内張りに少し
だけ敏感になり始めた乳首が擦れて、じぃんと甘い感触が上半身に沁みる。ブラと素肌の
隙間で柔らかい乳房の感触を愉しんでいる彼に、自分のして欲しい事を気付かせたくて、
にゃもはわざと乱暴に、ボタンを全部外した彼のYシャツをガバッと広げてみせた。
そのまま甘えるように胸元にすり寄ると、彼もその意図を汲んだのか、ブラごとタンクトップ
を押し上げる。それなりにボリュームのあるにゃもの乳房が、ずり落ちようとする生地を
その場に押し留める。覆い被さるように体重を預けるのと、彼の腕がにゃもを抱き寄せるのは
ほぼ同時だった。お互いの心臓が一番近くなる距離のまま、身じろぎもせずにお互いの
汗ばんだ素肌の感触を味わう。にゃものスタイリングフォームやシャンプーや、彼のヘア
ジェルやシェービングローションの匂いと、お互いの身体の匂いが、エアコンのオゾン臭に
混じりながら車内を満たしているのが、にゃもにはよく解る。空気の密着間とでも言うの
だろうか、身体の自由がきかない狭い車内にあって、何故か色濃い安堵感を覚えるのは
この匂いのせいだろうと、にゃもはじんわりと痺れ始めた頭の中で考えていた。


493 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:01 ID:a9CDkN7k
今夜唯一のオシャレと言ってもいい、淡いマニキュアを塗った指(翌朝には落とさなければ
いけないのが少し悔しい)を悪戯っぽく相手の首筋に這わせる。
「……あ、首弱いんだ?」
くすくす、と笑ったにゃもに返ってきたのは、思いの外大胆な反撃だった。すばやく動いた
彼の手が、短めのプリーツスカートをたくし上げ、何も身に付けていない引き締まった双丘と、
その間で色づく手入れされた茂みの上を這い回る。にゃもは子供がいやいやをするように
身体を捻り、性急ににゃもの情欲の印を求めてくる指を払いのけようとする。
「こらぁ」
にゃもは少し怒ってみせるような口調で、目の前にあった男の小さな乳首に噛み付く。
それでも、めくり上げられて月明りに照らされるスカートはそのままにして。
「キミさぁ、小学校の通信簿で『落ち着きがない』って書かれたタイプでしょ」
言葉の端にちょっとだけ、仕事柄身に付いた厳しい口調を滲ませてみる。軽い背徳感が、
車内の空気に混じり込む。にゃもは自分の声音に軽く酔ったかのように畳み掛けた。


494 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:02 ID:a9CDkN7k
「見せてもらうからね」
そう言って器用にシートの上で身体を回すと、欲情している事を悟られないようじっくりと
時間をかけて彼のスラックスに顔を寄せ、ベルトとホックを解いてジッバーを下げた。
既にスラックスの上からでも判るほどにその存在を主張しているペニスに、布越しの頬擦りを
一撃加えたにゃもは、わざと手を使わず、焦らすように口だけで強張りを引きずり出し始める。
剥き出しの下半身を男に晒しながら、奥のぬかるみと綻んだ入り口を触ることはまだ許さない。
「…噛むわよ?」
引きずり出したペニスの根元から舌を這わせながら、にゃもはそう云って彼を制し、笑った。
トレードマークの髪をそっと束ねて、筆のようにして敏感な部分をくすぐってみる。
小動物をつつき回す猫のような気分になり、にゃもの顔に愉悦の笑みが浮かんだ。


495 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:03 ID:a9CDkN7k
ようやく辿り着いた頂点に口付けたにゃもは、舌の先をすぼめて尿道口をこそぐように一気に
粘液を舐め取ると、限界まで強張っているそれを口内に迎え入れた。自分の唾液と、それ独特の
匂いと味が交じりあう。決していいものではなかったが、嫌いになるようなものでもなかった。
愛おしげに舌を這わせてゆくうちに、また先端まで粘ついた液体がとろりとせり上がってくる。
ちょっとした悪戯っ気を覚えたにゃもは、唇で作った環をぴったりとペニスに密着させてから、
舌を軽く沿えて、粘っこい液体をちうう、と吸い上げた。
演技ナシの呻き声が足元から聞こえ、びくりと組み伏せた身体が震える。
慌てて口を離すと、ちゅぽり、という音と共に、唇とペニスとの間に透明な糸が引く。
月明りに照らされたそれを見て、ちょっとした自己嫌悪と、それを遥かに上回る陶酔感が
頭蓋の中を跳ね回る。トクン、トクンという心臓の鼓動が聞こえるような気がした。
少しばかりの荒淫をものともせず、物欲しげに震えているそれを見て、にゃもは自分自身の
そこも似たように潤って、これを迎え入れる準備ができているのかな、とふと思う。
気持ちを汲み取ったかのように、整った茂みをかき分けて、太いオトコの指がそこに触れて
くる感触に、にゃもは息を呑んだ。今度は、払いのけるような真似をせず、そっと受け入れる。
既に綻んでいたそこを広げられて、とろり、と粘液がひとしずく漏れた。
ブラシでデリケートな部分を削られるような軽い痛みと、広げられる潤いにぬめる甘い感触が
混ざった中で、にゃもは次に襲いくるであろう舌の生温い感触を待ち侘びて、はぁぁと肩を
震わせ、彼を誘う溜息をつく。無意識のうちに再び手が伸び、汗ばんだ掌がそれを握り締めていた。


496 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:03 ID:a9CDkN7k
向かい合い、きつく抱かれて耳朶を噛まれ、項を撫でられながら、にゃもはゆっくりと腰を
沈めていった。唾液に薄められた愛液で完全にぬかるんだそこに、熱くなった先端がつん、と
当たる。少しだけ腰を前後に動かしてぴったり合わせると、自分の声とは思えない艶かしい
溜息が漏れた。そのまま、ずっ、ずっと異物がメリ込んでくる感触に身体が反り返り、
押し殺した呻きがこぼれる。エアコンの冷風では殺せない温かさが、珠の汗となっておとがいに
浮かぶ。こじ開けられた路が憶えている感触に馴染み始めるまで待つ。
まだ足りないとばかりに、にゃもの身体の奥からとろとろと熱い液体が降りてきた。
早く馴染ませたくて、早く動きたくて堪らなくて、にゃもは理性に逆らって動き始めた。
瞼を固く閉じて、歯を食いしばりながら、にゃもは徐々に増してくる下腹部からの悦楽と
昂ぶる身体中の総毛立つような心地良さを少したりとも逃すまいと、身体を動かし続けた。

……たまには『センセイ』をやめてみるのもいい。溺れてみるのだって、ときには悪くない。
黒沢みなもはそんな事を考えながら、心の奥底に潜めていた心の枷を解き放つ。
そして、しばらくの間、考える事をやめた。


497 名前: IXTL 投稿日: 02/08/16 10:04 ID:a9CDkN7k
『関東地方、明日の天気です。太平洋高気圧の影響で明日もよく晴れ、蒸し暑い天気と
なるでしょう。日中の最高気温予想は全般的に高く、東京34度、宇都宮31度、甲府34度…』
カーテレビの天気予報を遮るように、遠慮がちに車の外に出て煙草をふかしていた男が、
マンションに寄っていっていいか、と呟いた。助手席の窓枠に肩を預けながら、頬を
赤らめていたにゃもが、未練がちに絡めていた手を握り直していくつか条件を出す。
「そうね……煙草は吸わない事。それと……替えのYシャツとネクタイ、買ってこようか?」



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